閑話:その頃、とある夢魔は。
魔王様、魔王さまぁ!
聞いてくださいよぉ
あっ、ごめんなさい。
ついつい、うっかり。忘れちゃうんですよねぇ~
失礼いたします。
魔国が夢魔公爵、ベネッテ・ナイトメア
只今、派遣先より帰還いたしました。
で、クロノス様の指示通りに、地の精霊王様の夢の中に入り込むことは出来たんですよぉ。
これは、眠りを司る闇の精霊王さんの力も借りたんで、ちょー簡単だったんです。
それで、クロノス様の頭から読み取った奥さんそのものとして地の精霊王様の前に出て、それっぽく話かけたんですよ?
そしたら、地の精霊王様ったら、すぐに奥さんじゃないって気づかれてぇ。
これでも誘惑を得意とする魔族の統括してるくらいなんで、騙すのだってお手のものって思ってたのに、誘惑する隙もなく見破られちゃって
私ビックリしちゃいました。
「憤ることはない。息子の記憶を読み込んだのだろうが、あれ以上に私の方が妻を理解しているというだけの話だ。」
って仰られて!
それと、「どうやら、私の体を使っているのは息子らしいね。まったく、とうの昔に死んでしまったと思っていたのに、どんな手を使ったのやら。君達も、あれに巻き込まれたのだろう。迷惑をかけてすまないね。だが、根が悪い子ではないのだ。これからも仲良くしてやって欲しい。」って。
もー超かっこよかったです。
これでも、人間だった頃王侯貴族専用の高級娼婦やってましたけど、あんなカッコいい男なんていませんでしたよ。
そうなんです。
すぐにクロノス様が何かしようとしていることに気づかれたみたいなんですけど、親の勘で大丈夫だと分かるって言われて、夢の中でですけどお茶に付き合ってくれって。
地の精霊王様直々にお茶を入れてくださったんですよぉ。
それから、奥さんの話とか子供さんの話とか、色々お話してぇ
そろそろ事も終わりそうだって事で、私も帰されたんですよ。
はい。
なんか、上手いこと終わりそうだって教えていただきました。
「年寄りの昔話につき合わせて悪かったね」って。
もー本当に紳士ですよねぇ、地の精霊王様。
後妻狙っちゃおうかなぁ
でもぉ、今でも奥さんのこと愛してるって昔話とかしている時の笑顔とか見ちゃうと絶対に無理だって分かりますしぃ・・・
あぁ、どこかに地の精霊王様みたいな素敵な旦那さんは落ちてないでしょうか。
だってぇ
部下とか、昔からの友達とかぁ
皆もう結婚しちゃってるんですよ?
私だけですよ、嫁ぎ遅れ!
これでも、魔国最古参の一人なのにぃ。どんだけ売れ残ってるんですかぁ
笑わないで下さい!!
はいはい。
分かりましたぁ。
ちゃんと報告書は提出しますよーだ!!
魔王様だって売れ残りのくせにぃ
男だからって余裕ぶっこいてないで下さいよぉだ!!