スマホの章 第1話
ようこそ、「禁じられていた遊び」へ。
これは、ある“遊び”をきっかけに、静かに歯車が狂い始める物語です。
まだ何も起きていません。
けれど、その一歩は確かに踏み出されました。
どうぞ、お付き合いください。
僕は、ごく平凡な中学生。
名前は、元気だ。
イジメっ子でもなければ、イジメられっ子でもない。
どちらかと言うと、イジメを目撃しても何も出来ずに、
ただ見て見ぬ振りをして、何時も安全地帯に居るような、
一番卑怯な奴なのかも知れない。
クラスの、大半の奴も同じだと思う。
でも、何時かはイジメられっ子を、イジメっ子から救いたい!
それか、出来る事ならイジメっ子を撃退したいと思っていた。
・・・・なんて、僕にそれだけの勇気など、あるはずもなけど。
そのイジメっ子とは、R君。
背が高く体格の良い、クラスの皆が恐れる暴れん坊だ。
そして、イジメられっ子とは、背が低くほっそりとしたI君だった。
いかにも気弱そうな奴で、何時もオドオドしていた。
■禁じられていた遊び■
スマホの章 第1話
そんなある日、イジメっ子を撃退する方法を思いついた。
ある、恐怖体験投稿サイトで見つけたもの(都市伝説)を、実際にやってみようって事になった。
その話の投稿内容は、こうだった。
・⋯━☞学校☜━⋯・
僕達は、うまくR君を呼び出すことができた。
人数の制限は分からないけど、5人以上の奇数の人数を集めて全員がスマホを持つ。
一人を中心に立たせ、その周りに輪になるように他の人が囲み、周囲の人達が、一斉に輪の中の人に電話をかけるというものだ。
誰かのスマホが繋がるはずなのだが、成功すれば必ずメンバーの中に居ない、「知らない誰か」から電話がかかると言うのだ。
そして、電話の相手から聞かれる質問に答え、答えられたなら、何か一つだけ願いを叶えてくれると言うものだった。
もし、答えられなかった場合は、最後の質問の内容によって異なるが、とても怖い目に遭うという事だった。
でも、なんとか全の質問に答えて、イジメっ子を懲らしめてやろうとの事だったのだ。
そんな僕の提案に付き合ってくれたのは、
当のイジメられっ子I君本人と、いじめっ子R君。
付き合ってくれたクラスメイトの男子、A君とB君の二人。
そして、僕を合わせての合計5人だった。
勿論、R君を懲らしめようと言うのは、R君本人には内緒である。
「チョットしたゲームをしよう!」と誘ったのだ。
R君は、思ったとおり話に乗ってきた。
そして放課後、僕達は学校近くの神社の境内へ集まった。
・⋯━☞とある神社の境内☜━⋯・
R君:
「よし! お前、真ん中に立て。」
I君:
「わ、わかったよ・・・・」
A君とB君:
「・・・・」
元気:
「いいか? じゃぁ、I君の番号を入れて!」
A君とB君:
「入れたよ。」
R君:
「入れたぞ。」
元気:
「僕も入れた。 じゃぁ、いちにのさん!で発信ボタンを押すんだよ。」
A君とB君とR君:
「分かった。」
元気:
「じゃ・・・・いち・・・・にの・・・・さん!!」
ピッ!・・・・プップップッ・・・・プルルルルルル!
僕達は、一斉にI君のスマホへ電話をかけた。
すると、I君の電話に見知らぬ番号が表示され、電話が鳴った。
I君は、皆にスマホを見せて、確かに着信している事を見せる。
でも、誰のスマホもI君には繋がっていなかった。
I君は、恐る恐る着信ボタンを押す。
すると・・・・
ピッ!
I君:
「・・・・もしもし?」
僕とA君とB君とR君:
「!!・・・・」
A君:
「お前か?」
B君:
「違う! じゃぁ、R君?」
R君:
「俺じゃないぞ?」
元気:
「僕でもないよ!」
僕とA君とB君とR君:
「・・・・・・・・・・」
謎の相手:
『俺は、逆さ男だ。 今から質問する事を、反対に答えろ。』
I君:
「えっ? は、反対に答えるって?」
I君は、確かに誰かと話しているようだった。
でも、I君を囲む者のスマホはみな、話中の音だけが聞こえていた。
自分達以外の誰かが、I君に電話をかけたのは明らかだった。
電話の相手は、I君の質問を無視し、話し続ける。
謎の相手:
『お前は今、幸せか?』
I君:
「うっ・・・・えっ・・・・し、幸せです。」
R君:
「はぁ? 何を言ってんだIの奴?」
A君とB君:
「・・・・?」
元気:
「何を話してんだろう?」
謎の相手:
『では、次の質問。 お前には親友と呼べる者は居るか?』
I君:
「えっと・・・・い、居ます。」
謎の相手:
『では最後の質問。 お前は、男か女か?』
I君:
「え!?・・・・僕は・・・・」
I君は、答えるのを躊躇った。
この最後の質問に答えた後、R君にどんな仕返しをしてやろうかと悩んだからだ。
もし、あからさまにR君に仕返しをする内容をココで話せば、
きっと今よりも、もっと酷いイジメに遭うと思ったからだ。
どうにか考えて、R君の前でも話しても気付かれないような方法は無いものかと・・・・
すると、痺れをきらしたRが、突然I君のスマホを奪い取ってしまったのだ。
R君:
「何をやってんだ!! 貸せ!!」
I君:
「あっ!」
僕とA君とB君:
「!!」
R君:
「誰だお前は!?」
謎の相手:
『質問に答えろ。 お前は男か女か?』
R君:
「男に決まってんだろ!!」
R君が、そう答えた瞬間!
R君が持つI君のスマホの画面から、大きな半透明の腕が飛び出し、
僕達の身体を、すっぽりと覆い被せたのだ!!
このとき僕達は、何が起こったのか理解できず、ピクリとも動けなかった。
すると、半透明の腕の中に居る僕達の身体が小さくなり、
着ている服も、小さくなった体のサイズになり、
R君の憎たらしい顔は、可愛らしい顔へと変わり、
気が付いたときには、R君は完全に女の子へと変わってしまっていたのだ!
僕も、A君もB君もI君も、女の子へと変わってしまっていた。
そして、いつの間にか半透明の腕は消え去っていた。
I君のスマホは、話中の時の音が、プープープーと鳴るだけだった。
R君は、I君のスマホを持ったまま、ただボォ~と佇んでいた。
僕達も、皆の顔を見てオロオロするだけだった。
誰も、何も言葉を発する者は居なかった。
このとき僕達5人は、揃って男から女に変身してしまったのだった。
第1話をお読みいただき、ありがとうございます。
ここから少しずつ、世界の裏側が見えていきます。
“遊び”は本当に遊びなのか。
ぜひ見届けてください。




