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出席者達が1人1人王族に向かって挨拶をする行列に並び、周囲が用意した誕生日プレゼントの豪華さにビビル。
こちとら予算0の中考えたプレゼントなんだから……と心の中で言い訳を唱えてみたところで、そんなものは周囲の人間には分からない。
これでもちゃんと色々考えて用意したプレゼントは、青い薔薇11本。
アルバートのキャラクターカラーが青色であることと、青い薔薇の花言葉は「奇跡」「神の祝福」で、年齢と同じ本数。
我ながら完璧だと思ったんだけど……貴重な宝石をあしらったカフスとか貴重な糸で作られたハンカチとかをバンバン出されると、どうしたって見劣りしてしまう。
「にぃ……あ、王太子殿下……えっと、ご誕生おめでとうございます」
兄様といつものように呼ぶには気が引けて、王太子殿下と言ってから“王国の太陽”的な決まり文句はあっただろうか?と遅過ぎることを思った。
「アルケイン、ありがとう」
アルバートは良い笑顔を俺に向けて来る。
豪華なプレゼントを用意した貴族達に対しては愛想笑いみたいな感じだったのに、庭で摘んだ薔薇を11本束ねただけのものを持参した俺に対して満面の笑顔なんだ?
なんだかよく分からないけど、居心地が悪い。
ブラコンなアルバートは、俺がどんなプレゼントを用意しようとも喜ぶだろうと初めから予想はしていたし、こんな風に満面の笑顔を向けて来ることだって想像に難しくはなかった。
それなのに、なんなんだ?
花束かぁー。って、そんな感じであしらわれた方が余程よかった。
パーティー開始を待たず、本館までの移動中にサッと渡しておけば良かったな……。
ペコリとお辞儀をして会場の隅に移動すれば、俺の後ろにいた貴族が前に進み、アルバートに向かって誕生日を祝う言葉とプレゼントを贈っていた。
自分が用意したプレゼントが、他の貴族達のプレゼントに比べると目劣りしていたから、それを恥ずかしく感じた、とかかな?
しまったな……花束をあげるんじゃなくて、青い薔薇を押し花にしてしおりを作るとか、ドライフラワーにするとか、一手間をかけるべきだった。
今更だな。
挨拶タイムが終わると、王と王妃によるファーストダンスがあって、その後ダンスタイムが始まった。
会場の中央で踊る人、食事や会話を楽しむ人、訳ありで参加したのだろう、暇そうに会場の隅でジッとしている人。
本日の主役であるアルバートは、今はまだ友人達に囲まれて談笑をしているし、リリアンナも別の場所で友人達と喋っている。
婚約者候補とのダンスが始まる前に声をかけたいんだけど……話しかけ難い。
中庭に不用意に出てわざと攻撃を受けて、大袈裟に騒いでパーティーを中止にしてやろうかな?
人の誕生日パーティーを台無しにするのは違うか。
だったら、アルバートとリリアンナが逃げるバルコニーでスタンバイしておこうか?
ざっと見た感じ、バルコニーに続くドアは7つある。
どこだ?
確かバルコニーの中央付近に柱が建っていて、それが会場からの良い目隠しになったとかいう描写があった筈だから、柱のあるバルコニーを調べてみるか。
1番端にあるバルコニーに出て見れば、さぁーっと中庭が目の前に広がっていて、中庭には自由に出られるようにもなっていた。
実際、何組かのカップルの姿が見える。
「どうしたの?疲れちゃった?」
柱がなかったので、別のバルコニーに移動しようとしたタイミングで声をかけられ、ビックリして振り返ると手に皿を持ったアルバートがいた。
皿の上にはクッキーが乗せられている。
「外がどうなっているのか気になっただけです。兄様は疲れていませんか?」
「大丈夫だよ。一緒にクッキーを食べよう」
ニコニコしているアルバートは、バルコニーにある椅子に腰かけるとテーブルに皿を置いた。
ダンスはどうしたんだろう?




