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立派なモブに転生したのでヒロインを立派に育成することにした  作者: SIN


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5/5

 ズラリと並べられた服の中、人形のように何度も着替えさせられては迷子になる体力が残らない。

 そこで俺は好きな色を「暗めの赤色」と血の色をチョイス。

 言ってしまえば不吉な色なので、これだけでグッと候補となる服が減った。

「兄様は当日どのような服なのですか?」

 数着の服を指示してみれば、アルバートは自分の着る服により近い至極の1着を選んでくれたので、これが良いと言えばお買い物終了だ。

 細かなアクセサリー系のチョイスはプロに任せ、俺とアルバートは少し街を散歩しようということで、護衛を引き連れてゾロゾロと移動を開始させる。

 子供が迷子になるポイントってどこなんだ?

 急に走り出すのは不自然だし、追いつかれてしまえば散歩タイムが終了してしまって馬車に押し込まれるだろう。

 だとしたら、人の多い商店の方に行って商品を見ているふりをして人ごみに紛れてしまうのが自然だな。

 路地とかに入ってしまえば治安も悪いことだから、アルバートは追いかけては来れないだろう。

 その場合、俺が危険だな。

 考え直そう。

 あ、そうだ。

「兄様、商店の方に行きたいです!」

 ゾロゾロと商店まで移動した後はアルバートから手を離し、護衛の1人に耳打ちをする。

「兄様に誕生日プレゼントを買いたいので、内緒で一緒に来てください」

 これなら護衛が1人付く上に、ウロウロしていても不自然ではない。

 アルバートとの別行動時間を獲得し、誕生日プレゼントを見たいと言った手前、それらしい商店を見回りながらルイーズ捜索を始めてみれば……うん、俺は恐らくアホなんだな。ルイーズが商人の娘って設定を忘れてたんだ。

 店に直接行けばルイーズがいる可能性があるんじゃん!

 こうしてルイーズの実家でもある「レミルディ」という名前の店に乗り込んで、そこにちんまりと座っている招き猫……招きルイーズを見つけた。

「いらっしゃいませ!ルイーズのおすすめはお茶です!」

 商人らしいハキハキとした物言いに似合わず、フワリとした雰囲気のルイーズは、確かにヒロインだなと思わせるだけの魅力がある。

「誕生日プレゼントを探してるんだけど、おすすめはある?」

 流石に第一王子にお茶はどうだろう?と他の物を聞いてみれば、ピョンと立ち上がったルイーズはチョコチョコと店内を歩き回り……。

「こらルイーズ。すいませんね……なにをお探しでしょうか?」

 奥から出て来たのは、店のオーナーでもありルイーズの父親……なのか?

 ルイーズの父親って商売が繁盛しまくって、金の力で男爵になった小柄でふくよかな人物じゃなかったっけ?

 そうそう、ザ・成金って感じの挿絵まであったよな?

 それなのに目の前にいる男性は、決して小柄とは言えない中肉中背の清潔感ある男性だ。

 父親ではなく年の離れた兄?

「え、っと……兄様に誕生日プレゼントをしたくて……」

「ルイーズのおすすめはね、お茶だよ!」

 どれだけお茶を推すんだ?

 もしかして、自分が飲みたいからとか?だとしたら、これは絶好の機会だ!

「ねぇ、兄様をここに連れてきて欲しいんだ」

 護衛に声をかければ案外すんなりと行ってくれて、1回言っただけで動いてくれるのはかなり優秀だと感心しかけたけど、そもそも1回で聞いてくれない方が第2王子に対する扱いとしては可笑しいような……いや、ここに1人残してすんなりと行ってしまったことの方が可笑しいのか……まぁいいや。

「誕生日プレゼントだったね」

 店員がそう言って人の良さそうな笑顔を向けてくるんだけど、非常に残念無念なことに、俺は一文無しだ。

 王族とはいっても、予算が回ってこないんだからお小遣い的なものは特にない。

 そんな訳でプレゼントもくそもないというね。

 まぁ、どのみちアルバートは俺がなにをあげようとも喜んでくれるんだから、帰ってからそれらしい物を考えるさ。

 アルバートのキャラクターカラーは青だったから、青色の花でも積んで花束作ればいいだろ。

 でも花にするんなら花言葉には気を付けた方が良いのか……ローズに聞きながら花束を作るかな。

「アルケインここにいたんだね。呼んでいるって聞いたけど、どうしたの?」

 よしよし来たか。

「いらっしゃいませ!ルイーズのおすすめはお茶です!」

 そしてルイーズはチョコチョコとアルバートの前に行き、ハキハキとお茶を進めた。

 よっしゃ!

 出会いミッションクリア!

「え?あ、お茶?」

 困った風な表情のアルバートは、ルイーズと視線を合わせるために少し屈み込み、それには流石の元気っ子も照れてしまったか俯いてしまった。

「この子がおすすめはお茶だと言うので気になって、一緒に飲みませんか?」

 一緒に飲もうと誘ったのは俺だけど、お茶の代金を支払ったのはアルバートで、お茶の準備をしているのはルイーズで、お茶に合うお菓子を準備しているのはアルバートの護衛の1人。

 なにか手伝えることはないかと尋ねてみたところで、この場にいる誰よりも幼い俺では手伝えることは、大人しく座っていることくらいしかないようだ。

 かなり幼く感じていたルイーズだったけど、改めて考えればアルバートと同い年だったんだなって。

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