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立派なモブに転生したのでヒロインを立派に育成することにした  作者: SIN


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 俺が1人で町に出るわけにはいかないので、アルバートが来た時に「出かけたい」と頼んでルイーズに会いに行った。

 誕生日パーティーの後しばらくアルバートはあちこちのパーティーに参加していたらしく、俺に会いに来たのは半月ほどたってからだった。

 その間の俺と言えば、いつルイーズの所に行っても良いようにと母さんやローズから「淑女教育」なるものの手ほどきを受けて過ごし、ハンカチに簡単な刺繍ならば入れられるようになっていた。

 第2王子としては特に必要もないスキルかもしれないけど、それもこれも全てはルイーズを強化するため!

 そのためには知識や手先の器用さ、勉学と覚えてもらわないといけないことは山積み、まずは読み書きと計算を徹底的に……

「私、簡単な読み書きならもう出来るよ?立派な商人になるために、計算もお父さんに教えてもらってるんだ」

 あ、あぁ……。

 息巻いていた勢いが、そのまま空回るとは思わなかった。

 えっと、じゃあ姿勢……は既に悪くないし、喋り方にしても俺達には普通だけど、お得意様を接客しているルイーズの話し方は丁寧だ。

 令嬢になったら語尾を「ですわ」にしなきゃならないってルールがあるなら、まったく貴族令嬢らしい話し方とは言えないけど、今はまだ商人だから「ですわ」口調だと違和感がある。

 可笑しいぞ?

 今見る限りルイーズはかなり優秀な人物だ。

 それなのに原作ではかなり頭が悪く、男爵令嬢になった後には「こんなことも知らないの?」みたいなことを言われまくっていた。

 商人と男爵令嬢とでは「優秀」の基準が多少は違うとはいえ、読み書きや計算が出来るのなら、あれほどまでに頭が悪く描かれていたのは可笑しい。

 なにか裏があって、わざと頭が悪いように見せていたとまで思えてしまう。

 なんのために?

「アルケインには、もっと別のことを教えてもらいたいんだ。見て!これはどうしたらいいと思う?」

 そう言ってテーブルいっぱいに置かれたのは、なにをどう見ても貝殻だ。

 綺麗な形のものはインテリア品として加工されているが、欠けている物やあまり色味がきれいではないものは破棄するしかないそうで、破棄するにはもったいないとのこと。

 どうやらインテリア品として加工したものは人気があり、高値で売れるらしく、貝殻を食堂や宿屋から買い取っているんだって。

 買取っているなら、破棄するのは確かにもったいない。

「綺麗なものだけを買い取るようにしたらどうかな?」

 さっきまで黙って聞くことに徹していたアルバートが、基本的なアドバイスを口にした。

「あまりにも状態の悪い物は買取ってないよ?だけど、運搬・洗浄・乾燥・加工の過程でそれぞれ欠けたり割れたり砕けたるするものが多いんだよね」

 なるほど、仕入れを制限とか運搬方法とかじゃなくて、割れた貝殻の活用方法を聞かれてるんだな。

 店内を見渡してみると、綺麗な形の貝殻が付いた雑貨が並べられているが、割れているものは見当たらない。

 前世では蝋燭に入っていたり小瓶に欠片になった貝殻とサンゴが一緒に入った物がインテリア商品として売られていたっけ……。

 風鈴みたいなものもあったし、石鹸に入れるとかもあったな。

 水槽の水質安定のために入れてるって話や土に撒いて肥料にするって話も聞いた記憶はある。

 さざれ状になった貝殻でも、穴が開けられるんならビーズとして使えないだろうか?

 消臭効果は、どうだったかな……。

 自信のないものは伝えず、前世で見たことがあるものを伝えてみると、ルイーズはキラキラとした目で紙にアイデアを箇条書きにし、俺の前に色んな大きさ、色んな割れ方をした貝殻を並べた。

「どの貝殻が使えそう?」

 そうだな……蝋燭に入れたりビーズにする分には大きいものでも良いし、小瓶に入れてインテリアにするなら粒感があった方が綺麗にみえるし、石鹸に入れるなら粉末状が良さそう。

 と、そんなことを話している間に時間は過ぎてしまい、あっという間に帰宅時間となってしまった。

 ルイーズを教育するんだと気合入れていたのに、ふたを開けてみれば割れた貝殻の活用方法を3人でああでもない、こうでもないと話し合うだけで終わってしまったわ。

 ニコニコとこちらを見ているアルバートとの帰宅中、馬車に揺られながら今後のルイーズ強化計画などを考える。

 読み書きと計算については親父さんに任せるとして、他のこととなれば刺繍とかダンスかな?

 刺繍は教えられるけどダンスは俺自身がいまいち……あ、そうだ。

「兄様、今度ルイーズにダンスを教えてあげたらどうでしょう」

 今日は貝殻の活用方法を考えただけだから、いまいちアルバートとルイーズの距離感が近付かなかったけど、ダンスの練習をすれば否応なしに距離感が近づくだろう。

「……アルケインの望みなら、別に構わないよ。だけど聞かせてくれないか?何故ルイーズ嬢を気にかけるんだい?」

 さっきまでの笑顔を消し、俺に質問をしておきながら若干厳しい視線を窓の外に向けているアルバート。

 めんと向かって聞き出しにくい話題でもないだろうに。

「僕の初めてできた友人ですから。それに……」

 まだルイーズが魔法を使っているところを見たわけではないから、光属性であることはまだ伝えない方が良いか。

「それに?」

 アルバートの妃候補として推していると言えば警戒される可能性もあるし、これも言わない方が良さそうだな。

 じゃあなにも知らない子供が無邪気に自分の好みを披露している風にやり過ごそう。

「兄様のお誕生日パーティーでダンスを踊っていた女の子達より、ルイーズの方が好きだから、兄様とルイーズが踊っている所も見たい!」

 あのパーティーでアルバートを踊った令嬢達は妃候補だったから、その令嬢達よりもルイーズが好きという発言は、丁度いい力加減のルイーズ推し発言になるはずだ。

「そう……。なら、ルイーズにダンスを教える代わりに、俺のお願いも聞いてくれる?」

 ダンスを教える代わりに願いを?

 なにを言われるのかはよく分からないけど、ダンスを教えてくれるというのなら了承する他ないだろう。

 王妃ならともかく、今のアルバートからは俺に対して明確な殺意は感じないし。

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