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第66話 性豪 *

性豪(せいごう)】――生命の根源である界理(ロゴス)を活性化させ、精力を増強させる能力。界理を循環させることにより性交時に生命力と共感力を高める。


 精力増強だと??


 僕の身体に一体なにが起こっているのだろうか……


 いや……よく考えたら、これはとてもありがたいスキルなのではないだろうか? 


 なんせ今日はルナの発情期だ。満月の夜のルナは……それはもう、すんっごくなってしまうから、僕は枯れ木のように干からびてしまう。


 ルナ一人でさえそうなのだ。


 ……そこに美咲さんまで交じってしまったら?


 ……若くして腹上死まっしぐらな気がする。


 ありがとう整合、いや、性豪スキル!


 おかげで僕は……今日という日を生き延びることができそうです。


 この性豪スキルのことはしばらく黙っていよう。少なくとも今言っちゃだめだ。言ってしまったら……絶対に検証しようってなるからね。そうなったら……丸一日おこもりコースが待っているはず。


 なんとなくスキルの効果はわかるから、死にはしないだろう、というのは感じるけど……せめて一度くらい実戦で確かめてみないと。


 その為にはダンジョン探索で発情期中の時間を消費して、少しでも短くするのだ!


 一人うんうん、と頷いていると、ルナとばっちり目が合った。


「おはようございます」


「お、おはよう」


 いつから起きていたんだろう? 別に何も悪いことはしていないはずなのに、なぜか冷や汗が出てしまった。


「どうかしましたか?」


「い、いや……別になにもない(・・・・・)よ」


 すんっと軽く息を吸ったルナは、こてん、と首を傾げた。


「タクミ様……珍しく嘘をついていますか?」


「え!?」


 冷や汗どころか……一気に心臓がバクバクしてしまう。


「すみません……嘘をつくと特有の匂いが身体から発せられるので……わかっちゃうんです」 

 

「ごめん……嘘っていうか内緒にしときたいことがあって……あ、といっても、皆にとってなにか悪いことがあるわけじゃないんだけどね」


「……そういうことですか。……では話したくなったらその時にお願いしますね。誰だって内緒にしておきたいことの一つや二つありますものね。……私だってありますし……。タクミ様も……今のことで気にしないでくださいね」


「う、うん。わかったよ」


 ……凄いな狼の鼻は。天然の嘘発見器じゃないか。


 そっか〜、僕……今までルナに嘘をついたりしてなくて良かった。これってけっこうな信用問題だよね。


 美咲さんも起きたので、それぞれ朝の支度をしてモーギスの丘ダンジョンへと向かう。今日は昨日と方角を90度ずらしてスタートだ。


 昨日と同じように、行きに半日で進める距離を進んだ後に、横移動して帰りは違うルートで帰って来る。進路は八等分したピザの線の上を進む感じで、横方向に次の階層へと繋がる何かがないかを気にしながら探索をしていく。


 昨日の探索でわかったことだが、半日では外縁部に到達できなかった。


 僕らの目的は魂の位階(レベル)アップによる急激な身体の変化への順応や、スキルの実戦実験だ。だから、片道半日の半径内の探索を四日間行っても次の階層の手がかりが見つからなかった場合は、探索を切り上げることにしている。


 ゼニス王国からだいぶ離れたとは言え、まだ逃避行の最中だからね。


 相変わらずゾンビ系多め、次いでスケルトン系、霊体系とアンデッドモンスターばかりだ。出てくるのはDランクからFランクまで様々で、頻繁に現れる。


 二日目ともなればだいぶ慣れてきたので、どの戦闘も余裕を持って対処できるので、非常によい訓練となった。


 ルナがそわそわし始めたので、今日は昨日より少し早めに帰ることに。今日もダンジョン攻略に繋がる発見は何もなかった。





 クンクンクンクンクン……クンクンクンクンクン……


 ダンジョンを出ると、待ちきれないとばかりに匂いを嗅ぎまくられた。ルナの鼻先が僕の首筋を執拗に辿る。獲物の急所を探るような、熱を帯びた呼吸を繰り返し、覗き込んできたルナの焦げ茶色の瞳は、鋭い光を放ち始めている。


「ミサキさん……今日は私一人でも?」


「だめだよ! 昨日のことがあったから、も、もう私だって……へ、平気なんだから!」


「本当に平気だと思いますか? ミサキさんは一つ勘違いしていますよ?」


「な、なによ? 脅かして二人きりになろうとしたって、そうはいかないんだからね!」


「タクミ様はまだ全力ではありません。……ですよね?」


「え?」


「そんなことはないよ。誠心誠意、二人にはご奉仕したつもりだけど。まあ色々と初めて続きだから、使うのも失礼かと思ってスキルは使っていないけどね。生身でやらせてもらっています」


「そういうことです」


 うんうん、と頷くルナ。


「どういうことよ?」


「つまり……タクミ様が本気で私達をおとそうとした場合……昨日の二倍以上の快楽を与えられるということです」

 

「!?」


「しかもタクミ様は……ねちっこいといいますか、求道者といいますか、やる時はとことんまで私達を開発してきますからね……そうなったら」


「ゴクリ……そうなったら?」


「快楽地獄が待っています。いえ……失礼しました。天国です」


「……」


 美咲さんがあんぐりと口を開け、絶句して固まってしまった。


 それにしてもルナのやつ、ねちっこいとは……何気にディスってくるではないか。そこまで言うなら知覚を目一杯上げてしんぜよう。……二倍で済むと思うなよ。


 それぐらいやらないと、発情期の日は一方的に襲われちゃって身が持たないしね。


「あ、あんなに凄いことされちゃったっていうのに……あれで……序の口? ……確かに普通のマッサージでさえあの気持ち良さだし……そ、そんなことされたら……わ、私どうなっちゃうの?」


 あ、美咲さんが再起動した。


 美咲さんも戦々恐々としてはいるが、嫌がってはいないみたいだ。スキルを使って相手して欲しいのかな?


「ルナちゃんが耐えられるなら……わ、私だって……が、頑張る!」


 村に到着する頃には日が陰り、空にはうっすらと白い光を放つ満月が、悠々と浮かび上がってきた。


 僕の顔をペロペロとなめ始めたルナを、「どうどう」と鎮めながら宿へと急ぐ。食事を黙々と、しかし、ちょっ()やで済ませて僕たちは部屋へと向かった。


「タクミ様!」


 部屋に入るなりルナに甘咬みされてベッドに押し倒されてしまった。美咲さんから『清浄化(クリーン)』の魔法が飛んでくる。


 今日は美咲さんには申し訳ないけど、先にルナを相手しないと……噛みちぎられてしまいかねない。


 だんだん理性を失っていくルナ。まろび出たルナの柔らかな胸を整合し、ルナの知覚を急激に上げる。


「あひんっ!」


 それだけで達してしまったのか、脱力したところでこちらから唇を奪う。過去の経験から……主導権を渡したらヤられる!


「んっ、んっ、んっ! ちゅ、ちゅっ……ふぅ~ふぅ~」


 あっという間にルナにのみ込まれてしまった。


「……うそ……あんなに……激しいなんて……」


 美咲さんの声が遠く感じる……





 





 




 チュンチュン……チチチッ……


 は!? もう朝??


 朦朧とする意識の中、なんとか気合で気だるさを吹き飛ばし目を開けると、ルナと美咲さんに抱きしめられていた。


 以前なら指一本動かせないはずの朝。だが、不思議と身体は軽い。


 ……ちゃんと生きてる! 性豪スキル様ありがとう!


 いや〜、性豪スキルの効果は抜群だったね。


 やればやるほど(みなぎ)り、果てしない精力を実感した。一体化している間に二人のエネルギーが昇華して、僕の芯へと還流してくる。


 そして深奥で一つになっている間、確かに界理(ロゴス)が二人の間を循環しているのを感じ取ることができた。グルグルと廻る間にルナや美咲さんの、快感や歓びの感情の一部も僕へと流れ込み、僕のと合わさって再びルナや美咲さんへと巡っていく。


「僕」がどこまでで、「二人」がどこからなのか。


 魂の輪郭が熱に溶かされ、混ざり合い、巨大な一つの光の渦へと変わっていく。


 精魂が尽き果てるどころか、回れば回るほど熱量を増していく。まさに性の永久機関!


 あの一体感は……とても言葉では言い表せない――

 まさかの!


 二連続いちゃラブ回でしたね。


 きっと第64話で派手に性域を展開しちゃったからなんでしょう。


 三人に自由に行動してもらったのですが……まさかこうなるとは……作者にもわかりませんでした(笑)


 次回はちゃんとダンジョン回です(;^ω^)


 いつも応援していただきありがとうございますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
こんばんは。 スキルのおかげで、本気を出したらまさに野獣と化す訳ですね巧さんww多分ルナだけじゃ受け止め切れないですから、美咲さんの参戦は彼女にとってめちゃありがたいんでしょうね。 とはいえ二人なら…
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