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盲目の整体師は異世界でのんびり過ごしたい〜僕の整合スキル、なぜか性豪って呼ばれています!?美少女達にゴッドハンドを求められ、勝手にハーレムを作られて困っている〜  作者: 大木げん
第二章 迷宮都市ルボンド

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第39話 宝箱(美咲視点)

 ――Side 美咲――


「うおおおっ! 地穿剣(ちせんけん)!!」

 

 全身に力を漲らせた和正君が、ダンジョンの床に聖剣を突き立てると、巨大なエネルギーの奔流となって地中を駆け巡る! 


 グリーンドラゴンの足元から巨大な岩石の剣を何本も創り出して次々に貫いた。


「ぎぃえぇぇぇー!」 


 グリーンドラゴンが断末魔の声をあげると、大きな牙と巨大な魔石を遺して消え去り、第九十階層のボス部屋での戦いは終わった。


「あんなに大きなドラゴンを!」

「流石は勇者様ですぅ!」

「あ〜ん、しびれるぅ!」



 和正君の護衛? 騎士達が黄色い歓声を上げて口々に褒め称える。


「ふっ。俺にかかればドラゴンとはいえ、こんなもんさ。美咲さん! どうだった? 俺の活躍、見てくれた?」


「凄かったわ。和正君は本当に大活躍ね」


「ハッハッハッ! 次の階層では別のスキルで倒してみせるから期待しててよ!」


「「「きゃ〜!」」」


「……聖女ミサキ様の能力が大きく貢献していることを忘れないでいただきたい……」


 私の護衛騎士マイケルが、ぼそりと呟くのが耳に入った。


 スムーズに倒せたのは、愛さんの補助魔法で攻撃力を倍加している、というのもあるのだろう。でも、実際に和正君は活躍しているのよね。実感の無い私と違って……目に見えて活躍している。


 私の能力が、周囲の歪み(ヴァル)エネルギーを不安定にする波動で、ダンジョン内のモンスターを弱らせるだけじゃなくて……『ファンタジー・サーガⅩⅤ(フィフティーン)』のホワイトみたいに、直接活躍できていたら……少しは和正君みたいにこの世界を楽しめていたのだろうか。


 何度もダンジョンに入ったせいで、当初持っていた命のやり取りに対する忌避感は大分薄れはしたけれど……やはり実在感を感じられないのは、大きなストレスとなっている。


 はっ!? いけない。今はそういう考えに呑まれては駄目よ、美咲。巧先生を探し当てるまでは、例え漬物石であろうがそんなこと、どうでもいいことだわ。


 心を強く保たなくっちゃ!


「聖女様、勇者様、次へ参りましょう」 


 ベケット卿の指揮で次の階層へと下りてゆく。第九十一階層の前室へ着くと、伝令役が第八十九・九十階層の拠点としている前室と、地上へと界渡りで消えて行った。


「我々はここで丸一日完全休養した後に、明後日の朝より第九十一階層の攻略を開始いたしましょう」


 深層階では歪み(ヴァル)に体を慣らすために、できるだけ地上には戻らないそうだ。そのため、テント内には各人が簡易ベッドを持ち込み、寝心地もある程度担保する必要がある。


 明後日までには順次レベルに合わせて、界渡りで九十一階層に人員を増員し、一斉に九十一階層の攻略を進めるのだろう。


 私は愛さんと二人で同じテントにしてもらい、周囲には女性の護衛騎士のテントが立ち並ぶ。前室の面積に限りがあるので、テントは基本的に二人組となっている。


 テントには遮音と遮光の効果のある魔道具が備え付けられているので、意外と良く眠れる。


 和正君はといえば……お忍び(バレバレ)護衛騎士(美女軍団)達が訪ねて行っているので、二人組になったりならなかったりしているようだ。


 完全休養はどこへいった?


 もっとも、恋仲にある人達は始めから二人組で一つのテントに収まっているので、それも心の平穏を保ち明日への活力とつながるのだろう。


 絶対にモンスターが現れない前室だからこそ、このシステムが成り立っているのだろう。


 少し羨ましくもあるけれど……そういうことをしていると全員に思われてしまうこの状況では……恋人がいたとしても同じテントというのは……私は避けたい……かな。


 


「諸君、おはよう! 打ち合わせ通り、まずはマッピングから始める! それでは第九十一階層の攻略開始だ!」 


 ベケット卿の声が高らかに前室に響き渡った。


 他の階層からの増員も到着し、拠点となる前室に数名の連絡員を残して、いくつもの小隊に別れて九十一階層になだれ込んでいった。


 私のグループは、愛さん和正君と共にそれぞれの護衛騎士達と、フォレル王国側のベケット卿を含めた上層部と護衛騎士達が一つに纏ったメイン部隊なので一番規模が大きい。


 定められた法則通りに迷宮(ダンジョン)を探索し、次々に地図が完成していく。数の力とは凄いものだ。攻略する、という一つの意思のもとに、それぞれが手足となって効率的に進めていく。


 投入されているのは精鋭部隊というだけあって、モンスターとの戦闘も各員がまだ余裕を持って戦えているようだ。


「報告致します! ボス部屋と思わしき部屋を発見! その隣に、例の障壁のようなもので侵入のできない部屋も発見致しました!」


 護衛騎士達が沸き立つ。


「おお! 一日目で早くもボス部屋を発見とは運が良いですな!」


「ボス部屋の隣が厳重に封印されているとは……古代遺物(アーティファクト)が眠っているのでは!?」


「ここはやはり聖女様のお力の出番では……」


 期待を込めた眼差しが私に集中してくる。


「ボス部屋は全ての探索が済んでからだが、今日中に隣の部屋というのは確かめておくべきか。……聖女ミサキ様、我々もその部屋に参りましょう」


「わかりました。案内してください」


 ベケット卿の決定に従い、案内を先頭に件の部屋へとグループ全員で向かう。


 ボス部屋と思わしき大扉を通り過ぎると、通路の先には確かに扉があった。しかし、扉の前は微かに虹色に発光する油膜のようなもので覆われている。


 皆の視線を浴びながら、私は一つ頷くと障壁へと近付く。そっと手を触れると、障壁の油膜のような光が、まるで生命を宿したかのように波打ち、薄れていった。


「どうやら前回と同じようですね。皆さんお願いします」


「おぉりゃあ!!」


 和正君の放った猛烈な斬撃が、私の直ぐ側をかすめて障壁に衝突した!


「ひっ!?」

 

 近い! 近いって和正君! 私の安全も考えてよ!


 障壁を破壊するだけにとどまらず、斬撃は部屋の扉をも粉々に砕いてしまった。


 振り返った私のじと目には気付かず、どんなもんだとばかりに鼻の下を指でこする和正君。全くこの人は……大きすぎる力を手にしてしまった子供のようだ……


 粉塵が収まって部屋の中に入ってみると、天井は高くドーム上になっており、ボス部屋に匹敵する広さがあった。部屋の中央には一つの大きな箱が置いてある。


「おおー!?」

「これは期待できますな!」


 すぐに探知系スキルによって箱は調べられ、罠やミミック反応はなかったようだ。


「宝箱自体も物凄い装飾だ!」

「なんという宝石の数!」

「早速開けてみましょう!」


 遠目ながらも箱をよく見てみると、その形状は宝箱というよりも……


(ひつぎ)?」


 言いようのない不安が一気に押し寄せて来る。あの箱から、なぜか得体のしれない、禍々しい気配を感じる。


「待って! ちょっと待って! 開けちゃだめ!」


「美咲さん?」


 きょとんとした顔で愛さんがこちらを見る。皆はあの()から何も感じないのだろうか。


 私の制止の声が届くよりも先に、六人がかりで箱の蓋がずらされ、一気に蓋が取り除かれた。


 近寄った私の目に映ったのは……下向きに剣の柄を両手で握ったポーズで横たわって安置されている西洋風の全身鎧だった。


 ……ただし、兜はない。勇壮でありながらもどこか禍々しい雰囲気をもつ全身鎧。


「お〜! すげぇ! かっけぇ〜! 伝説の鎧とかかな? これ、俺がもらっていい? 剣も俺の聖剣よりも凄かったりすんのかな?」


 すかさずベケット卿が和正君をたしなめる。


「勇者様、お待ち下さい。それはなりません。約定により、今回のダンジョンアタックで得た全てのアイテムは協議の上でフォレル王国とゼニス王国で均等に分けられると決まって……なんだ!?」


 突然室内に発生した、微かに虹色に発光するなにかが全身鎧に吸い込まれていく!?


「うわっ!」


 最前列で箱を覗き込んでいた和正君を含む八人が吹き飛ばされた!


 鎧が……宙に浮かび上がって……箱の前に降り立った。


『我が眠りを妨げし愚かなる者共よ……()く消えうせよ』




 

 


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