第30話 左胸に宿りし力
【性交】――精神と肉体が深く交わることによって、二人の魂の根源である界理が繋ぎ合わさり、魂の回路を構築する能力。
こ、これは!?
どういう意味なんだろう??
文面を解釈すると、両思いになってエッチしちゃったら魂も繋がりましたよ? みたいな?
整合スキルの説明にもあった「界理」という言葉が、ここにも含まれている……
【整合】――物理的・魔力的・精神的な構造そのものに存在する「歪みと界理」を感知し、それをステータスボードを通じて「整え」、本来あるべき清らかな界理の状態へと「統合」する能力。
整合師にも界理が書かれている……
【整合師】徳本巧固有のユニーク職業。世界の「歪み」を感知し、「調和」へと整える能力をもつ。世界の根源である界理に作用する。
ひょっとして!?
ルナをもう一度神眼で観察する。安定の【ルナの乳房】から始まり……以下略。
神眼でルナのステータスを捉えつつ、整合スキルでルナのステータスの変更を試みる。
知力を1にし、筋力が5になるように、右腕を伸ばし念を込める。
筋力アップ・筋力アップ・筋力アップ・筋力アップ!
変われ! 変化しろ!
だめか……イケそうな気がしたんだけどな……
「さ、さわられますか?……タクミ様ならいつでも……大丈夫です……よ?」
「え?」
なんのことだと思い、落ち着いて今の状況を見てみると……上掛けを持ち上げて下半分を隠したルナのたわわちゃんに腕を伸ばし、手をワキワキさせている僕……触れてはいない……が!?
ぎょえぇぇぇ!?
デジャヴ!
またやってしまった!
これってルナから見たら、無言で目の前のおっぱいをひたすらエアーモミモミしてるアフォな奴じゃないか!?
しかし、僕はもはや童貞ではない! ここでテンパるのはもう卒業したのだ!
触っていいというのならば、イチャつける機会は逃さずに遠慮なく触らせてもらいましょう。
しっとりとした肌に触れると……あれ?
ルナのステータスが……ブンとぶれた。
ステータスが動きたそうにしていると感じる僕がおかしいのか、この勘が正しいのか……ルナの知力を1にして筋力を5になるように強く強くイメージすると……
「……あんっ……」
「できた!」
「あ……き、きます! なにかすごいのが……きますぅ!」
「おわっ!」
ルナに僕の全身を軽々と持ち上げられ、その後もの凄い力で抱きしめられた。
「凄い! 力が身体の奥から湧いてくるようです!」
神眼で見ているが、確かに知力が1に筋力が5に変化し終えていた。
「ルナのステータスを整合できたのかな!?」
「できているに違いありません! これがステータスが上がった者の力……なんという全能感なんでしょう! タクミ様! ありがとうございます!」
一対一で胴上げされ、その後もう一度ぎゅむっと抱きしめられた。顔が胸に圧迫されて息苦しいほどだ。両頬と両耳が幸せなのでこのままでも良いか……ルナの幸せは僕の幸せ……感極まったルナのすすり泣くその涙が、ぽたりぽたりと曲線を描き僕にも伝わってきた。
「ルナ……おめでとう。良かったね。これでステータスのことでルナが悩む必要がなくなったね」
「これも全てタクミ様のおかげです。本当に……本当にありがとうございます……」
「ぷはっ!」
全方位からの顔面への弾力の牢獄から抜け出し、息継ぎをした後にルナと色々と認識を擦り合わせることに。
「それにしても不思議だな。ルナの左胸を触った瞬間、あっ、てなったんだよね。わかったというか、流れを感じたというか……」
「人に宿る界理は大部分が心臓に宿り、心臓から全身へと流れ、また心臓に還ってくると言われています。そのせいかもしれませんね」
「ルナの界理の中心に触れたことで変更ができたのかな?」
「どうぞ」
「?」
恥じらいながらも、たわわに実った果実を突き出してくるルナ。
「たくさん検証してください」
ぽっと顔を赤らめ、ルナが僕の手を取り左胸に添える。血液の流れをイメージしながら全身を触ってみると、やはり左胸を触っている時にのみ整合することができるようだった。
そして……初体験を済ませたばかりの僕らがそんなことをしようものなら、当然それだけで済むはずもなく……パワフルになったルナはより激しくなり……
「あっ!」
「どうしましたか?」
「ごめん、夢中になり過ぎて避妊のことを考えていなかった。その……ちゃんと責任は取るからね」
「なんの責任ですか?」
「え? だから赤ちゃんを授かるかもかもしれないでしょ。だから……ちゃんと結婚しよう」
「? 結婚したら赤ちゃんができちゃいますよ? 愛の逃避行の最中なので、私は妊娠するのはもう少し後のほうが良いと考えていましたが……」
?
ルナの中では、結婚する=赤ちゃんができるってなってるのか? この世界では性教育はないのかな?
「えっと……結婚しようがしまいが、僕とルナがこうやって交われば、赤ちゃんはできちゃうよね?」
「私とタクミ様が交尾しても赤ちゃんはできませんよ? 異種族なので」
「ええ!?」
なんということだ!?
教育が足りていないのは僕の方だった!
「同族や、せめて狼と犬みたいに犬系同士や、猫と虎みたいに猫系同士などの近縁種でしか妊娠できません」
「ルナ似の可愛らしい、もふもふ赤ちゃんを授かることを楽しみにしていたのに……」
「調和の神殿で祝福を受けて結婚すれば、異種族でも妊娠できるようになりますよ。ふふっ、楽しみにしてくださっているんですか? 私……とても嬉しいです……」
甘えてくるルナがとても可愛過ぎて……僕たちはこの街に来てから初めて、ダンジョンに行くことなく一日中宿にこもってしまった。




