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盲目の整体師は異世界でのんびり過ごしたい〜僕の整合スキル、なぜか性豪って呼ばれています!?美少女達にゴッドハンドを求められ、勝手にハーレムを作られて困っている〜  作者: 大木げん
第二章 迷宮都市ルボンド

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第19話 打ち上げ

 ルナの頭を撫でてあげると心地よさそうに見えたので、もう一撫でしてからボス部屋の奥へと向かった。奥には扉があり、下へと降りる階段が続いている。


「ルボンドダンジョンは、下へ下へと降りていくタイプのダンジョンのようですね。ダンジョンによっては、塔のように上へと登っていくタイプもありますよ」


「ダンジョンは外観どおりって事なのかな」


「ダンジョンコアが発生する時に、依代となる場所の影響が大きいのでは? と、言われていますね」


 会話をしながら階段を降りていく。この階段と前室にはなぜかモンスターは現れないそうだ。階段を降りきると、第二階層の前室に辿り着いた。


「タクミ様、少し待っていてください」


 ルナがパタパタと石板の前まで駆け寄ると、石板に手を触れた。


「やっぱり!」


 はずむ声でルナが嬉しそうに叫ぶ。


「タクミ様! 私『界渡り』ができるようになりました!」


「すごいじゃないか! やったねルナ!」


 ステータス値を神眼モードに合わせてルナを見てみると、確かに歪界者(ヴァリアント)の職業熟練度が4になって、新規スキル『界渡り』が増えアイテムボックスがレベル4になっていた。


「アイテムボックスにシルバーウルフの毛皮がしまえたので、そうじゃないかと思ったんですよね!」 


 歪界者(ヴァリアント)のアイテムボックスはレベルが1上がるごとに、収納できるアイテムが一つ増えるらしい。因みに神眼によると、僕のアイテムボックスは無限となっている。異世界人ってかなり凄いよね。便利だから良いんだけどさ。


「ということは、ここで地上に引き返すことができて、次に来る時にはまたここからダンジョン探索を始められるということ?」


「そうです! これで私も自信を持って歪界者(ヴァリアント)を名乗れます!」


 界渡りを使えない歪界者(ヴァリアント)は半人前なのだそうだ。ルナが得意げに胸を張る。


 長年の夢がかなったルナは、満面の笑みで尻尾を揺らしている。


「じゃあ今日はお祝いだね! 初の階層クリアと、ルナの一人前を記念して、豪華にいこう! お肉をたくさん食べよう」


「わぁ、楽しみです!」


 ふふっ、ぶんぶん振られる尻尾が微笑ましいな。


 差し出されたルナの左手を握る。


「界渡り、第一階層へ!」


 ルナの掛け声と共に体が浮遊感に包まれた。転移した先は、先ほどまでの第二階層の前室より広い。扉をくぐると、ダンジョンの外へ出れたので第一階層で間違いなかったようだ。


 空を見上げると、ちょうど夕焼け雲がたなびき、夜になりかけている。


「界渡りって凄く便利だね。これがあるとダンジョン内の野営を減らせて良いね」


「ダンジョン内の野営はゆっくり休めないですからね。お役に立つことができてとても嬉しいです……タクミ様も歪界者(ヴァリアント)の熟練度が上がればその内に覚えることができるはずなので、それまでは私が頑張りますね」


「よろしくね。そういえば『影の回廊』ダンジョンには黒い石板なんかなかったと思うんだけど、同じダンジョンでも何か違うの?」


「ダンジョンも成長しているらしくて、若いダンジョンにはなく、古いダンジョンには石板があるそうなので、何かの条件を満たすと石板が現れるのかもしれないですね」


「そうなんだ。ダンジョンも成長するって、まるで生き物みたいだね」


 歪界者(ヴァリアント)ギルドに到着したので、買取カウンターに向かうと、今日もミケさんがいた。


「こんばんは。買取をお願いします」


「おっ、タクミとルナだにゃ」

 

 アイテムボックスから大量のG・Fランクの魔石と、ボス部屋のシルバーウルフの魔石と毛皮を取り出した。ミケさんの目がキラリと光る。

 

「シルバーウルフが入ってるってことは第一階層はクリアしたんだにゃ。よそでDランクを倒しただけあって、中々のクリア速度だにゃ。Gランクの魔石が大銅貨三枚、Fランクの魔石が大銅貨二枚、シルバーウルフが大銅貨二枚と毛皮も大銅貨二枚。全部でちょうど銀貨一枚にゃ」


 買取価格に納得した僕らはギルド証を水晶玉に押し付けた。


「二日間で銀貨一枚一万ロギーか。一人一日あたり二千五百ロギーって多いのか少ないのか……」


「G・Fランクのモンスター相手ならそんなもんにゃ。それでも町中の普通の仕事の日当の倍はあるにゃよ?」


「前のパーティーでは、私の手取りは一日千ロギーない日の方が多かったので、十分多いと思いますよ? タクミ様に一撃でトドメをさせる決定力があるのが大きいですね」

 

「そっか。それじゃあ少しずつ増やしていけるように、第二階層も頑張ろう!」


「おー!」


「がんばれにゃ〜」


 ミケさんに打ち上げするのにちょうど良いお店を教えてもらって、ギルドを後にした。


 大通りから路地に入り少し進むと……看板に骨付き肉の絵が描いてある店があった。ここだな。肉の焼けるすんごいいい匂いが店から漂っているから間違いない。


 中に入って空いている席に座ると、隣りの客に指をさされた。


「あっ! ダンジョンで見かけた槍の兄ちゃんと剣の姉ちゃんの二人組だ!」


 ん?


 ああ、ダンジョンで横取りにならないように僕らが待機していた、あの時の少年少女達か。監督者の男女二人もいる。


「こんばんは。奇遇ですね」


 僕と同い年くらいの女性が話しかけてきた。青い髪をハーフアップにした、水色の瞳の美人さんだ。優しげなタレ目で、ほんわかした雰囲気がある。


「奇遇ですね。そちらも打ち上げですか?」


「ええ、面倒を見ている子供たちの一人が初めて魂の位階(レベル)が上がったので、お祝いに来ました」


「へへっ! 俺のレベルが上がったんだぜ!」

 

 鼻をこすりながら男の子が得意げに言う。角うさぎに突き刺されそうになって突き飛ばされていた男の子か。 


「おっ! そいつはおめでとう!」


 そこからはお互いに名乗り合い、和気あいあいとした食事会になった。子供達が人懐っこくてかわいい。監督者の女性の名前はデリア、もう一人の爽やかイケメン男性の名前はヴァンスと言うらしい。


 成人済みの僕やルナ達、大人組は肉を食いつつエールも楽しむ。こういった食事は異世界に来て初めてだから凄く楽しかった。


 子供たちはこの街の孤児で、なんでもヴァンスとデリアは自分達のダンジョン探索の傍らで、この子達以外にも四組の孤児達を週替わりで面倒を見ているらしい。


「私達も孤児出身で、先輩の大人達に面倒を見てもらっていたから、恩返しに子供たちの面倒を見ることにしたんです」


 うーん、二人共、できた人達だなぁ。今の僕には自分のことで精一杯で、とてもそこまでできないや。ルナに続き、素晴らしい人格者に巡り会えた事が嬉しい。


 今日のお祝いはとても楽しい宴になって大満足だ。ちなみに酔ったルナは触りたがりになるようで、終始スキンシップ多めだった。



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