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盲目の整体師は異世界でのんびり過ごしたい〜僕の整合スキル、なぜか性豪って呼ばれています!?美少女達にゴッドハンドを求められ、勝手にハーレムを作られて困っている〜  作者: 大木げん
第二章 迷宮都市ルボンド

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第16話 予想以上

「二人とも初心者(ビギナー)狩りには気をつけるにゃ」


 ルナと二人で顔を見合わせる。


「ダンジョン内で殺されたらどうなるんですか?」


「体はしばらくすると、ダンジョンに吸収されて消えてしまうにゃ。手持ちの物はそのまま残されるけど、これも一日以内に消えてしまうにゃ」


「アイテムボックスに入れておいた物はどうなるんですか?」


「アイテムボックスは歪み(ヴァル)を利用した空間操作スキルなんだにゃ。半分くらいは異空間に呑まれて消えてしまうけど、残り半分はスキル所持者の死体を起点として、周囲に散乱するにゃ」


 ということは、アイテムボックスに入れておいた物も奪い取ることが可能ってことか……犯罪者の立場からすると、命だけは助けてやるって脅して、アイテムボックスの中身も出させられればラッキー。断っても、何が出るかは運次第だけど、殺しちゃえば半分は自分の物にできる。


 脅されて言うことを聞いたとしても、口封じで殺されるってところか……死体が残らないなら、目撃者さえいなければ完全犯罪か。恐ろしいな。


「教えてくださってありがとうございます」


「気をつけるにゃ! たくさん稼いで、ちゃんとここに戻って来るようににゃ」

 

「はい!」


「ミケさん、おすすめの防具屋さんはありませんか?」 


「それならギルドを出て右に曲がって八軒目にある、バッシュの店がいいにゃ。あそこはちゃんと値段通りの価値のある物を扱ってる真面目な店だから間違いがないにゃ。盾の看板が出てるからすぐにわかるはずにゃ」


「ありがとうございます」


 ミケさんにお礼を言って、ギルドを出た。


「ルナが言ってたとおり、ホブゴブリンウォーリアの魔石は高く売れたね。このお金で必要な防具を揃えよう」


「そうですね。タクミ様は頭と体、私は盾だけでも買っていただければ十分です」


「ルナ、前にも言ったよね。これは二人で手に入れたお金だ。ルナが一人で倒した分も入っているし、ルナのお金でもあるんだ」


「そ、そうでしたね。ではしっかりと選びますね」


 僕達は二人とも武器は持っているが、防具はない。大怪我はしたくないし、もちろん死にたくもない。


 言われた通りに進むと、バッシュ防具店はすぐにわかった。中に入ると、ずんぐりむっくりした固太りの、ひげもじゃ店主が出迎えてくれた。


「ぃらっしゃい!」


「こんにちは。歪界者(ヴァリアント)ギルドのミケさんに教えてもらってこちらに来ました」


「おう! ミケの紹介か! 欲しいものはなんだ? 予算はどのくらいだ?」


「私は非力なので、軽く取り回しのよい小丸盾(バックラー)を一つ、それと二人分の体装備をお願いします。二人とも動きやすい軽装装備が良いですね。予算は銀貨四枚で収まるようにお願いします」


 慣れているルナが簡潔に注文する。

 

「銀貨四枚な。戦う相手のランクはどのくらいを想定してる?」


「主にEランクのモンスターを相手にします。場合によってはDランクもですね」


「Dランク相手に完璧を求めるならその予算じゃ厳しいが、最低限の一撃死を避けるぐらいなら何とかなるか。メインは、Eランクなんだろ? 鉄板貼りの木製バックラーに革の胴鎧が二つと。頭装備は要らねえか? うーん、予算内に収めるなら無いよりはマシな布の帽子を二つにするか、革の帽子を一つにするか。どうする?」


「布の帽子を……」


「革の帽子を一つください」


「ルナ!」


「タクミ様、布の帽子ではすぐに物足りなくなって、無駄になります。私は元々、頭装備なしでもここまでやってこれています。安全に戦える範囲で稼いでから、もう一つ革の帽子を買う方が良いでしょう」


「それはそうかもしれないけど……」


「俺も嬢ちゃんの意見に賛成だ。満足いく防具を揃えるには金がかかる。ランクに合わせて少しずつ揃えていく方がいいぞ」


「……はい」


 二人にそう言われたら納得するしかないよね……


「よし、じゃあちょっと待ってろ」


 入り口と反対側の扉を開け、防具屋のおっちゃん――神眼によると、この人がバッシュさん――はすぐに防具を持って戻ってきた。


「微調整してやるから今着てみろ。嬢ちゃんはこっち、兄ちゃんはこっちだ」 


 渡された革の胴鎧を頭から被って脇の紐で調整する。


「兄ちゃんの方は問題ないな。嬢ちゃんの方は……ちと胸がきつそうか。待ってろ、もうワンサイズ上のを持ってきてやる」


 革と言ってもかなり硬いので、女性用の物は始めから胸部分が湾曲して作られているらしい。どうやら歴戦の防具屋といえども、ルナは痩せているので、その大きな膨らみを正しくは目測できなかったようだ。


 新しく持ってきてくれた胴鎧は、脇の紐をきつく締めればちょうど良さそうだった。


「よし、いいな。二人とも全身をその場で激しく動かしてみろ」


 体の動きに防具が差し障ることはなかった。


「問題ないな。それじゃあ銀貨四枚だ。悪いがうちは元々原価ぎりぎりで商売している。ミケの紹介といえど割引はできんぞ」


「大丈夫です。良い物を見繕っていただきありがとうございます」


 神眼で確認すると、どの防具も良品と表示されていた。品質は確かなようだ。


 携帯食料と飲水を買い込むと、残りのロギーは宿屋と食事代で三日分のみとなった。明日からはダンジョンでガンガン稼がなければ生活ができない。




 そしてその日の夜。初心者狩りのことをミケさんに聞いた僕らは、できる限りの対策を取ることにした。


「タクミ様よろしくお願いします」


 まずは僕が御手本を見せないといけない。


 寝ているルナに両手を広げ覆い被さる。ルナの大きな胸がつぶされる感触が、僕の胸板に伝わってきた。


「あっ……」


 寝技の練習の時間だ。




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