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【中3】
「大人になれば自由になれるのかなーー」
「でも大人って大変そうよな」
「わかる!子供やからって許される事もないもんな!
ま、どうせ地球終わるけどな」
「はは、ほんまやなーー」
大人にならずに済むのはありがたい
「あ!流れ星!」
今夜は、流星群
吉の家の駐車場に2人並んで寝っ転がって
夜空を見ている
吉の家には天体望遠鏡があり
たまに2人で星を見る会があった
BUMP OF CHICKENの天体観測の歌詞に感化され望遠鏡を担いでった事もある
全然午前2時でもないし、踏切までは遠すぎて
めちゃくちゃ家の近くの空き地で星を見ただけだったが
星を見ながら1人分のイヤホンを2人で左右の耳に当てて天体観測を聴いた事は
数ある2人の思い出のひとつだ
「ついに受験やなー
吉どこいくん?」
「親が私立の男子校行けって」
「まじ!あそこ進学校やんな!?」
「行きたくも無いけど」
「えーーー、、そっかー…
俺はたぶん港校かな、行きたくもないけど笑」
違う高校に行く=会えなくなる
高校は違うだろうな、と想像はしていたが
実際に、離れる、となると
俺はかなり不安だった
寂しかった
横で寝ている吉をチラリと見る
離れたって、同じ空を見ていると思えば
寂しくないって
クラスの女子が見てた遠距離恋愛の漫画に書いてあったけど
そんなもんか?
そうだとしても
俺らは3歳から一緒におったんやから
遠距離恋愛なんかと一緒なわけない
俺らの関係は言葉で言うたら何になるんやろう
幼馴染み、友達、親友、家族みたいな
なんかわからんけど
それよりもっともっと大事な存在
寂しくない、わけないやろ
なぁ、吉はどう?
「利輝と一緒やったら、楽しかったやろな」
不意に吉が言った
シュンっとまた星が流れ
吉は、あっ と言った
「めっちゃ光った!」
「…ほんまや」
俺は
吉の一言が嬉しくて、胸がいっぱいになる
「初めて利輝と離れるなー
ま、家近いしいつでも会えるけど
お前おらんの、変な感じする笑」
「わかる笑
ほな、バイトは一緒にせん?」
「それいいな!」
「もう旅館はやめよな笑
ヤケドする笑」
「ワロ笑」
「ほやけど、一人息子はやっぱ大変なんやな
親の期待的なやつ?」
「ほんまに
こっちは別に産まれたくて産まれた訳じゃないのに」
「まーな、それはな、そうよな、」
「でも、クソみたいな世界やけど、利輝がおる時代に生まれてよかったわ
どの時代に生まれても、2人なら楽しいやろな笑」
「ほんまやな笑
原始時代でも楽しいで絶対!」
「クロマニヨン人でも?笑」
「俺ら、ウホウホ語で話すんやで笑」
ヤバいと言いながら2人は笑った
利輝の手が
隣に寝ている吉の手の甲に触れた
あ、と思ったが
そのままにした
何か、触れていたかった




