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【中2】
「なぁ、利輝
まださ、台風終わってなくない?」
自転車で隣を走っていた吉は不安そうに俺を見る
「大丈夫ちゃう?警報も出てないし」
今日は、瀬名に誘われて今から3人で海で泳ぐつもりだ
台風が去った後の海は最高に楽しい
台風の名残でまだ波が高く
その中で泳ぐのはなかなかスリルがある
待ち合わせは瀬名の家の裏の海
瀬名の家は俺らの住んでる地区とはちょっと離れてるけど
同じ町内で小学校から一緒だ
小学生の時もたまに遊んでいたけど
なんか中学から急激に仲良くなった
ちなみに瀬名の家は俺らが通っている中学校の隣だ
玄関出て30秒で学校に着くので
朝遅くまで寝れて羨ましい
「おーい!!瀬名ー!」
行ってみると、もう瀬名は海に入っていた
「利輝!吉!こっちこっちー!」
半袖Tシャツに体操服のハーツパンツ
ゴーグルをつけた瀬名は波打ち際に立って手を振っている
早速俺らもゴーグルを装着して
海に入る
「すっごい!波高!!」
浅瀬なのにいつもの倍くらいの波が足に打ちつけ、よろけそうになる
「もっと深いとこ行ってみよ!」
瀬名はそう言って
ザブザブと海の中を歩いていくが
波が凄すぎてなかなか先に進めない
奥に行こうと頑張ってみるものの
自分の背より大きな高い波に押し戻されてしまう
それがめちゃくちゃ楽しくて
3人はわーわー!言いながら何度も繰り返す
「おっしゃ!行くぞ!!」
俺は高い波に向かって真正面から飛び込んだ
深いところまで行くと
波はさらに高くなり
ちょっと危険になってくる
大きい波にのまれるとグルリと身体を回転させながら
1度海底の方まで連れて行かれる
素人はここで焦って溺れる事が多い
慣れてる人は、波にのまれても
焦らずじっと待つ
次期にまた海面に出るからだ
海面に出たら、次の波が来る前に
急いで浅瀬に戻る
タイミングが悪いと波にのまれっぱなしで
どんどん足のつかないところまで連れていかれて死にそうになる
俺は1度経験したがマジで怖かった
「来た!ビッグウェーブ!!!」
瀬名が指差した先は、今日イチでかい波だ
「よし!皆で行こ!!」
3人は走って高い波に突進した
「うわぁぁー!!!」
高い波は頭の上まであり
簡単に俺を飲み込んだ
波の合間に、俺は大きく息を吸って
次の波にそなえる
次から次へとくる大きな波にグルグルとまわされ
まるで洗濯機の中にいるみたいに楽しい
何度も波にのまれながら
砂浜まで押し戻された
「やっばー!鼻に水入った!」
「ゲホッゲホ!俺もー!」
「あれ?吉は?」
砂浜に戻った、利輝と瀬名は
吉がいない事に気付く
「助けて!!」
声のする方を見ると
海の深いところまで流されている吉がいた
「やば!!」
俺は吉を助けようと海に入ろうとした
その時
「あんたら!何しとる!」
「茶弥!!」
振り返ると茶弥がいた
茶弥は小柄な女の子で
名前通りの茶色い髪をしていて
俺と吉とは同じ地区に住んでいる。
茶弥は
道路から海に続く階段を急いで降りてきて
カバンと靴だけ脱ぎ捨て
大きな波なんか関係ないみたいに
見事な泳ぎで吉を助け砂浜に戻ってきた
「吉!!大丈夫か?!」
「ゲホッゲホッ
だ、大丈夫、何とか、、」
「茶弥かっこいー!ありがとう!」
俺が茶弥にお礼を言うと
「あんたらバカだで!!こんな台風の日に何で泳いどるんだが!!!」
めちゃめちゃ名古屋弁で怒られた
(茶弥は小学生の時、名古屋から引っ越してきていて
普段は出ないのだが、怒ったり興奮すると名古屋弁が出る事があった)
3人は返す言葉もなく
体操服が濡れてスポブラが透けている茶弥の説教を黙って聞いた
のちに、吉は茶弥の事を好きになり
ストーカーの才能が開花する事になる。




