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海辺の町  作者: 八朔
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次の日、吉の学校が終わる時間をねらって

家の近くで待ち伏せした







なぁ、吉


そんなはず無いよな?

直接聞いたらわかるよな?


間違いやと言って、たのむから





何で俺は、今まで吉と会わんかったんやろう


ずっと連絡とってればよかった

嫌がられても、ムリにでも会いに行けばよかった

こんな事になるのなら


後悔しても遅いけど


吉、離れんとって!





ほどなくして、学校帰りの吉が現れた





「…利輝」



久しぶりに見た吉は、ちょっとまた背が伸びたようだ


見慣れない制服を着ている、俺の知らない吉





「吉、、あの、母さんから聞いたんやけど

引越しするってほんま?」



「うん」


「……どこに?」


「ワシントンD.C.」


「なんなん笑

アメリカって言えよ笑」


「だってほんまやもん笑」




久しぶりに会ったのに

軽く笑い合えるくらい、すぐにあの頃に戻れた


やっぱり居心地いいな





「なぁ吉、すぐ帰ってきてや」


「……。」






「……まさか、心臓の手術、、するん?」


「……する」




吉の答えに、目の前が暗くなった

ふらつく足をなんとか堪えた





「なんでなん……


しやんって言うたやん!!!約束したやん!!」



「そんなん、、仕方ないやんか」



「どうせ隕石くるやん!世界は終わるんやって!!もう決まってるやん!!」



「……そう決めたのは、利輝やろ」



「…え」



「勝手に隕石来る説を作って!地球が終わるって決めたのは利輝やろ!


隕石なんか来んし!まだまだ地球は続くし!


ただ…、」



吉は胸の辺りに手を当てた


「俺は滅亡するかも……」















あの日、俺らが中学生になったばかりの頃



6年後の18歳になる年に

吉の心臓の手術が決まった


成功率は50%


吉は震えながら

死にたくないって言った


だから、俺は

勝手に隕石が来ることにして

どうせ人類は滅亡して皆死ぬんやから

手術なんてしなくていいやん!

って言った


吉もそうやな、って言ってくれた



今までだって、薬でどうにかなってるなら

手術なんてしてほしくない


半分の確率で、吉が死ぬなんて


俺は耐えられなかった







「吉、2人でどっか行こう

自転車で!大阪とか名古屋とか!

俺働いてるから金あるし!なんなら日本一周しよ!

やから引越しなんてすんなって!」



「無理やって、、バイバイ」




吉は利輝に背を向け、家の方向へ歩き出そうとした




「バイバイって……、ほんまに行く気なん?!もう会えんくなってもいいん?!」


「仕方ないやん、1人じゃ生きられへんし」




「俺だって1人じゃ無理やわ!!!!」




冷たい吉の態度、こんなのいつもの吉じゃない


もう止められないのか?

本当に行ってしまうのか?



このまま、会えなくなるなんて嫌だ!!




何とか、引き留める言葉を探すけど

頭の中は真っ白で


泣きそうになるのを我慢しようするけど

だんだん息が荒くなるし


もう、わけわからん


吉がわからん







利輝は震える手をギュッと握った








「……さては、お前、偽物やな!!!」





突拍子もない利輝の発言に

吉は驚いて振り返った




「な、なんなん急に!」




利輝の目には涙がいっぱい溜まっている




「吉は俺の1番の理解者や!俺を見捨てる筈がない!偽物はどっか行けや!帰れ!」



「利輝、何言うとるん…」



「だっておかしいやん!本物の吉はそんなん言わんし、俺をおいてどっか違うとこに住むなんて言わん!


約束したやん!!手術はしやんって!!」




利輝は急に走って、吉に体当たりした


倒れた吉に馬乗りになると

何度も吉の顔を殴った

鼻から血がでても

吉の目が腫れてもやめなかった



利輝の目から涙がこぼれ落ちて、吉の顔を濡らした








吉、お前だけ幸せにさせない

俺だけ幸せにならない


お前の幸せも苦しみも俺のもの


吉は俺のもの







抱きしめて耳を噛んだ






終わるその時まで


なぁ、吉

ずっとそばに居って



俺の為に存在してて

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