プロローグ
この物語は、「魔導文明の黄金期から1208年後」の世界を舞台としたハイファンタジー学園作品です。
過去の遺産と未来への希望、その狭間で揺れる少年少女たちの運命を描きました。
一人でも多くの方の心に残る物語になれば幸いです。
魔導歴2731年──
天に浮かぶ都市にて、人類は魔法の頂に達した。
八階位制による魔法の格付けは、学術・軍事・宗教における共通基準とされ、第七階位をもってして、国が滅ぶと恐れられた。
そして、封じられた第八階位──
《創世魔術》
それは、世界法則すら書き換える
理すら超越した魔術であった。
同時に語られる“存在してはならぬ階位”
──失われた魔法階位**
かつて神すら滅ぼしかけた魔術体系とされ、その記録は全て焚書され、禁忌として葬られた。
だが、狂気の探求者たちはそれを解き放った。
人智を超えた魔導炉を暴走させ、因果を断絶させる《空白爆》を誘発させた。
その日、天空都市はすべて落ち、神殿は沈み、人類、
魔族、獣人、エルフ──全種族が滅亡の危機に晒された。
──文明は滅んだ。
そして暦もまた、**「混世歴」**と名を変える。
混世歴 元年──
光なき千年が始まる。
魔法を憎む者
失われた力を求める者
暴力で支配する者
禁忌を犯し続ける者たちの争いの果てに、王も、神も、英雄も消えた。かつての盟友だった種族同士も、互いを恐れ、疑い、殺し合った。
──そして、希望が芽吹いた。
魔法歴 元年──
“再興派”と呼ばれる魔術師集団が、禁術の灰燼から立ち上がる。魔法文明の反省と、破滅を繰り返さない知恵を掲げ、魔法を学ぶことで力を管理し、秩序を築くための《魔法学園制度》を確立した。
現在は魔法歴208年。
最も格式ある魔法学園、《アストラ・セレスティア》には、人間・エルフ・獣人・魔族──各地より選ばれた者たちが集い、八階位制に則った魔術体系を学び、秩序の継承者となることを誓う。
だが、時代はまた動き始めていた。
封印されたはずの“失われた魔法階位”に関する秘文が盗まれ、禁忌の地下迷宮が再び目を覚ます。魔法文明の崩壊から千年──もう一度、世界は“選ばれる”時を迎えようとしていた。
──この物語は、魔法に焦がれ、魔法に救われ、
そして魔法に裏切られながらも、世界の“真理”を追い求めた、一人の少年の魂の記録である。