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幼馴染は今日も不機嫌

 時は4月、今日から俺、梶原 律(かじわら りつ)は高校2年生として新しい学校生活を迎える。新生活が始まったわけじゃないのにこんな言い方をしているのもどうかと思うが、まぁ細かいことは気にしないでくれ。そんなこんなで俺の学校生活が始まるのだが、1つだけ悩みが生まれた。それは……


 「はぁ?!なんであんたがこのクラスにいるのよ!!」


 たった今大声で喚き散らしているこいつである。彼女の名前は斎藤 美玖(さいとう みく)、俺の幼馴染である。彼女は俺のような普通の人間とは違い、容姿端麗で勉強もスポーツもできる万能美少女。欠点があるとすれば気が強すぎるため、恋人ができても彼女のわがままについていけず、すぐに破局してしまうことくらいだろう。


 「なんだよ美玖。俺に何か用か?」


 「だから!なんであんたが同じクラスになっているのかって聞いてるの!!どれだけ私のことが大好きなわけ!?ま、あんたみたいな何の取り柄もない普通な人間と付き合う義理なんてないわけだけどね。」


 「別に俺はお前のことなんて好きじゃないし、クラスだって俺が先生に頼んだわけじゃねぇ!誰が好き好んで先生に頼み込んでまで山姥と同じクラスにしてくれなんて頼み込むか!!」


 俺は美玖の言葉に正論(自称)をぶつけて対抗する。すると美玖は少しショックを受けたような顔を見せたが、すぐに顔を赤くしてさらに俺に向かってくる。


 「だれが山姥ですって!!?二度とその口聞けないようにしてあげましょうか?!」


 「やれるもんならやってみろよ!そんな女の子らしくないことばかり言ってるからすぐに彼氏ができても別れちまうんだろうが!!」


 「彼女いない歴=年齢の人にそんなこと言われてもちっとも説得力ありませーん!!そういうことは1度でも彼女をつくってきてから言ってきてくださーい!!!」


 「俺はお前みたいに何度も付き合って別れてを繰り返すような尻軽じゃないんです~!俺が彼女出来たらお前よりも充実したカップル生活送ってやるから見とけよ!!」


 俺と美玖は中学に上がった時からずっとこんな感じだった。小学生の時までは仲は良かったのに、どうしてこうなっちまったのかねぇ…何にしても、余程のことがない限りはこの関係は高校卒業後も続くのだろうと勝手に考えている。


 「おい2人とも、喧嘩はそれくらいにしておけよな。」


 「そうよ、あんたたちが仲良しなのは十分伝わったから、他の人の迷惑になっちゃうし、ここら辺にしときなよ。」


 「「仲良くない!!!!」」


 俺たちの公論に止めに入ったのは俺のことを一番よく理解してくれているであろう親友、天塚 翔(あまつか しょう)と、いつも美玖のそばにいて、まるで母親のように美玖をなだめている橘 楓花(たちばな ふうか)だ。2人は高1の夏頃に付き合い始めて半年経つが、未だに仲がいいらしい。男を転々と移しては愛想つかされるどこかの幼馴染とは大違いだ。


 俺は美玖と言葉が被ったことに苛立ちを覚え、美玖の方を睨みつける。すると美玖も同じことを考えていたのか、俺の方を見ては目を細めてこちらを睨みつけてくる。翔と楓花はその間に入って俺たちを引き剝がす。といっても俺は最初から席についていたので、連れていかれたのは美玖だけなのだが…


 「お前らほんとよく喧嘩するよな。んで、今回は何が発端なんだ?」


 「俺だって好きであいつと喧嘩してるわけじゃねぇよ。今回だって俺が同じクラスだっていうことにいちゃもんつけて喧嘩打ってきたんだ。」


 「そうかそうか。ほんとお前美玖に好かれてるよな。」


 その言葉を聞いた瞬間、俺の怒りの矛先は翔に移った。


 「なんでお前はそうやって俺たちをくっつけようとするかなぁ!!あんな女が俺のことを好きだって!?天と地がひっくり返ってもそんなこと絶対ないね!」


 「案外そんなことないかもしれないじゃないか。嫌いは好きの裏返しってよく言うだろ?」


 ほんとに煽るのが上手いやつだ。ここまで俺のことをいじり倒してくるのは後にも先にもお前しかいないだろうよ。


 ここで何かを言い返してもこいつに煽られるだけだと思った俺は、「チッ」と舌打ちをして窓側の方をみた。翔は俺の顔を見て何故か笑みを浮かべ、自分の席へと戻っていった。


 (俺があいつとくっつくなんて絶対に有り得ねぇ。)


 俺は心の中でそう呟いて、机に突っ伏せる。その瞬間…


 キーンコーンカーンコーン…


 チャイムが鳴りだした。


 (もうチャイムが鳴っちまったじゃねぇか。結局一睡もできなかったなぁ…)


 俺は先ほどのことでまだ少し怒りがこみ上げたが、目を開けるとそんなことはどうでもよくなり、別のことで意識を持っていかれた。


 「な、なんだ……これ…?」


 あたりを見渡すとそこは、教室ではなく自分の部屋だったのだ。

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