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お墓参りと図書館での出会い

 手を合わせて水を掛ける。軽く掃除をするけれど殆ど汚れてはいない。少し前に誰かが掃除したみたいだ。持ってきたお花を添えて線香に火を付けた。土曜日私と麗華(れいか)星花(すーぱーすたーまいん)さんの墓参りに来ていた。

「これでいいよね。流派的に間違っている事とかある?」

 軽く調べたけど流派によって線香の本数とか変わるみたい。食べ物は迷ったけど置いておくのは良くないし、星花さんの好きな物はわからないから迷ったけど止めた。

「いいと思うよ。正直家で気にしている人いなかったから。ひいばあちゃんも気にしないでしょ」

「それならいいけど。星花さん。降霊の方法教えてもらったおかげで伊織(いおり)を封印する事が出来ました。ありがとうございます」

「ありがとう、ひいばあちゃん」

 そう言って二人して手を合わせる。冥福をお祈りして目を開ける。

「これでいいよね。帰ろうか紗月(さつき)

「うん、帰ろう」

 そう言って山を下りる。星花さんのお墓は山の中腹にある集団墓地にあった。山と言っても階段があるので山登りした訳じゃない。だからそこまで汗をかくことはなかった。


「この後まっすぐ帰るの?」

「図書館寄ってく。麗華は?詩織(しおり)のとこ行くの?」

「うーん。今はちょっとそんな気分じゃないかな。着いてっていい?」

「うん。借りたい本あれば言って。私の借りたいのは3冊だから」

「わかった」

 私は図書館の雰囲気が好き。来ている人が騒ぐことなく自分の求める本を窓に向かって呼んでいる姿を見ると何故か嬉しくなる。

 本の森の中から求める本を探す時間も好き。まあ探すのは余り得意じゃないから時間かかるし司書さんに頼る事も少なくないけど。何で図書館が好きなんだろうと考えた事がある。理由は簡単だった。姉さんとよく来ていたたからだ。姉さんは本が好きで図書館に行っていた。私は姉さんに着いて行って漫画とか読んでいた。そういえばたくさん本を買っていたし私にもこっそり漫画とか本買ってくれたな。今考えると別に隠して買って貰う必要はなかったけど。

「何にやけてんのよ。変な目で見られるわよ」

 …表情に出てたの?マジか、気を付けよう。今日は珍しく探している本がすんなりと見つけることが出来た。

「妖怪図鑑?ああ勉強するの。以外と真面目ね。それで私も続き読みたい小説があるんだけど」

 軽く頷いて探す。こっちもあっさり見つける事が出来た。私の探すスキルもレベルアップしているのかも。借りる本5冊を選んで、本当はもっと借りたかったけど図書館に寄るつもりじゃなかったから大きな袋が無くて諦めた。カウンターに向かう所で麗華が「あそこ」と言った。

 麗華の方を向くと指をさしている。指している方を見ると私と同じくらいの女子が本を読んでいた。あれは確か。

「あれ、クラスメイトの桐野(きりの)さんだよね」

「だね」

「え、話しかけないの?さっきからこっちちらちら見ていたけど」

「そうなんだ。まあ用があるなら話し掛けてくるでしょ」

 そう言って私はカウンターに向かった。本を借りるのに特にトラブルはなく無事に終わった。まあ、本を借りるだけでトラブル起きる世の中なんて嫌だけど。

「ねえ、本当に声かけなくていいの?」

 図書館を出ようとする私に麗華がまた話し掛けてくる。殆ど話す事無い人だし無理に話し掛ける必要なんてないと思うけど。

「多分気がついてないと思うけど何度か紗月の側通ってたんだよ。多分気がついて欲しかったんだよ」

 え?そうなの?全然気がついてなかった。確かに私は周りがよく見えてないって姉さんに言われる事あったけど。でも自分の探し物している時とか集中してない?それで周りまで見れている人は凄いと思う。それなら話し掛ければいいのに。まああんまり話した事無い人に話し掛けるのは勇気がいるのはわかるけど。

「話し掛けてあげなよ。本を借り忘れたふりして近くの本棚に近づけば自然でしょ」

 まあ確かにね。クラスメイトだし、挨拶するくらいいいかな。


 軽く頷くと私は向きを変えて本棚に近づいて適当に本を探す振りをして桐野さんに近づいた。

「あれ、もしかして桐野さん?」

「く、苦無白(くなしろ)さん?奇遇だね」

「そうだね。まさか図書館で会うなんて。本好きなの?」

「うん、そうなの。苦無白さんも好き?」

「まあね。そこまで沢山読む訳じゃないけど」

「そうなんだ。えっと」

 桐野さんはそこで言葉に詰まってしまった。どうしよう。図書館であまり長く話すのは良くないけど、桐野さんに触れる適切な話題も思いつかない。その時麗華が私の耳元でささやいてきた。

「私も好きだよその作家」

「私も好きだよその作家」

「そうなんだ。面白いよね」

「「うん、どんでん返しがうまいよね」」

 麗華の言葉をそのまま繰り返す私に桐野さんは嬉しそうに好きな本のタイトルをあげてきた。

「それは読んだことなかったから今度読んでみるね。あ、そろそろごめんね。この後用事あるから」

「あ、そうだよね。図書館だしね」

「また学校でね」

「うん、また」

 私は追加でもう一冊借りると今度こそ図書館を出た。

「お昼に誘えば良かったのに」

「え?ああそっか。考えもしなかった」

「…まあ紗月だしね」

 何そのだしねって。ていうか何でみんな連れ立ってお昼とか行きたがるの。人前で食べるのは面倒じゃない?というか桐野さんまだ本読んでたんだし誘うって選択肢出なくてもおかしくないでしょ。そう、私が気が利かないとかじゃなくて。

「まあいいや、これで帰るんでしょ」

「本屋寄ってく。さっき言ってた本とか買わないと」

「あ、本当に読むの?」

「まあね。読むって言ったし、読んでるって嘘ついたしね。また話す時には嘘つきたくないし」

「変なとこ真面目だよね」

 変なとこって何?私いつも真面目だけど?

 本屋によって本を買うと結局10冊近い本を家まで持っていく事になってしまった。後悔。よく考えれば今日買う必要なかったよね。まあいいけど。


タイトルを変更しようか迷っています。冷静に考えて今のタイトルで話の内容わかんないですよね…

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