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経緯とあれこれ

 この沈黙は何だろう。知らない名前だけど有名人とか?私がそんな事を考えていると母は少しあきれたように話始めた。

「…紗月(さつき)刀場屋(とうばや)(すずめ)さんよ」

「誰?私あった事ある人?」

「あ、知らないのね。道理でリアクションが無いと思った。隣のクラスの子よ」

 そう言われても誰かわからない。私の交友関係は狭いのだ。

「そうなんだ」

「興味なさそうね。お母さんとしては交友関係が狭すぎるのは少し心配なんだけど」

「別に困ってないよ」

「まあそれはそうだろうけど。コミュニケーションも経験よ。少しは自分から友達作るとか」

「考えとく。それでその刀場屋さんの先祖は何をしたの?何で取り付かれているの?」

「話逸らしたね。まあいいや、私が最初にずらしたし。彼女の先祖刀場屋鷹子(たかこ)はね、伊藤梼(いとうとう)刀到(とうとう)の師匠だった。そして伊藤梼刀到を貶めた張本人。彼女はね、伊藤梼刀到の才能にほれ込み彼を育てた。そしてその才能を手元に置きたがった。けど伊藤梼刀到はその気持ちに気がつくことなく独立し結婚した。そして鷹子は嫉妬に狂い、彼を追いつめた」

「それは恨まれるね」

「まあね。でもさ、雀さんが何かをした訳じゃない。先祖の罪を背負えってのも可哀

そうでしょ」

「まあ確かに。それで経緯は?」

「刀場屋家はね伊藤梼刀到に恨まれている事は重々承知していた。だから彼の刀には近づかないようにしていたの。でも最近そうはいかなくなった。雀さんのお父さんはね普通の仕事と研ぎ師をしているの。名前は刀場屋安久苛(あくいら)。表からの依頼だけじゃなく裏からの依頼も受けていた。勿論伊藤梼刀到の刀は研いでいなかった。でもパトロンから研ぎを依頼されてしまった。断ろうとしても断れなかった。力関係のせいでね。最新の注意を払って扱って。一人山奥に籠って研ごうとした。けれど刀は消えて雀さんの元に現れた」

「それで無差別に人を襲っていると」

「いえ違うわ」

 違うんだ。


 「基本的には理性的な妖刀だからね。斬る人は選んでいるわ」

 理性的な妖刀って何よ。

「じゃあ誰を斬っているの?」

「実際に被害が出ているのは彼女を救おうとした人ね。除霊師とかね。後はどうやら家族を殺そうとしているみたい。避難させているから無事だけど」

「専門家の除霊師が無理なら私は無理でしょ」

「除霊師で無理だったのは理由があるのよ。妖刀は付喪神になりかけている。付喪神はわかるよね?」

「うん。99年経つと物に意思が宿るみたいな話でしょ」

「まあ大分大雑把だけどそれでいいわ。実際は99年経たなくてもそうなったり、何年経ってもならなかったり法則はわからないんだけどね。付喪神はね、僅かとはいえ神性を帯びているの。だから並みの除霊師じゃ手が立たない。でも安久苛さんの伝手ではそれ以上の除霊師を呼ぶのは難しい。それで苦無白(くなしろ)に取り次いでもらえないかと依頼が来た。まあ苦無白が紹介するのは除霊師じゃないけど」

「じゃあ取り次いであげれば」

「正直この依頼を受けるか自体迷っているの。何故かわかるかしら?」

「相手がお金を払えるかわからないとか?」

「それは違うわ。お金はそれなりに持っているはずだし、娘の為なら死に物狂いで集めるでしょうね。万が一払えなくても色んな方法で取り立てるから問題ない。正解は交流が無いから。元々刀場屋は私たちの商売敵に組していた。今では違うけれど交流はないわ。この件をきっかけにして交流を持つのもいいかもしれないけれど正直刀は時代遅れでうま味が無いのよね」

「じゃあ何で私にバイトなんて持ちかけているの?まさか刀場屋雀が可哀そうだからなんて言わないよね?」

「勿論。時代遅れとはいえ刀場屋に恩を売るのは悪くはないわ。苦無白と契約を結んでいる妖怪の中には刀を好んでいるのもいるしね。でも付喪神を相手できる存在を紹介する程のコストを払うほどの価値は見いだせない」

「それで私に?」

「そういう事」

「無理でしょ」

「そうかな?最近あなたに側にいるのは?」

「…もしかして麗華(れいか)の事?」

「正解」

「それは駄目だよ。報酬はどうする気?まさかただ働きさせるつもり?」

 もしそうなら私は母を軽蔑する。

「まさか。支払いは3種類考えているわ。優香(ゆうか)さんに支払うか借りとさせてもらって何かあった時に返すか望むものを用意するか。世の中幽霊でも触れる特殊な方法で作られた物もあるのよ。優香さんに支払う場合は勿論色々な手を使ってばれないように少しずつ振り込む」

「それならまあ聞いてみるけど。でもさ、麗華が協力してくれたとして何とかなるの?」

「それは聞いてみないとわからない。大丈夫よ。もし受けるならどんな手を使っても依頼は達成させるから。今回の件は氷冷秘(ひさひめ)さんにも協力してもらうつもり」

「そうなの。何で?」

「こっちに慣れてもらうため。色々とね。氷冷秘さんの力を借りられれば事は簡単に済む。足を凍らせてもらって後は麗華さんの力を借りればいい」

「足凍傷にならない、それ?」

「さあ?死ぬよりはいいでしょ」

「そっか。でも上手く行かなかったら?」

「さっきも言ったでしょ。受けたからには達成するって。手立てはあるから心配しないで」

「んー、そっか。うん。いいよ。麗華がいいと言えば受ける」

「良かった。ちなみに実行は明日ね」

「早くない?」

「日に日に生気を吸い取られて弱っているから。時間が無いの」

「そっか。でもプランも何もないけど」

「必要ないわ」

「え?それでうまくいくとは思えないけど」

「今回の件はね、力技で進めて何とかなるから」

「いやそんな事わかんないじゃん。普通計画立てて実行でしょ」

「普通はね。でもいいの。他の人にもサポートに入ってもらうから成り行きで何とかして」

「私こういうことするの初めてで何もわかっていないんだけど」

「そうね」


 そうね。じゃないんだけど。初めては普通誰かの仕事を見るとかそういう感じじゃないの?指示もないとかおおかしくない?まさかいつもこの調子じゃないよね?だとしたら大分幻滅するんだけど。

「ちなみにいつもはサブプランを最低5つ用意するし綿密な打ち合わせをしたうえで進めるわ」

「じゃあ今回もそうしてよ」

「今回はいいの」

「何でよ。すればわかるから」

「お母さんて案外パワハラ気質?」

「…今割と本気で傷ついたんだけど」

「だって色々おかしくない?」

「本当にやればわかるから。兎に角麗華ちゃんがいいならお願いね」

「うん」

 頷きつつも私は不安になっていた。

上手いタイトルが思いつかない…

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