片桐優香4 少しでも前を
昨日、麗華のカクテル・ミュージックのアカウントに新曲が投稿されていた。麗華の作った曲は全て聞いた。
麗華の言っていた通り、人気なようで色々なランキングの上位に入った物もあるようだった。私の手柄ではないけれど、嬉しい。新曲も麗華が作った物だと思う。根拠はない。しいて言うならこのアカウントを使えるのは私と麗華だけだから。
紗月さんが勝手に作るとは思えない。恐らく麗華に頼まれた紗月さんが投稿したのだろう。私に元気だと伝える為だと思いたいけれど、それは思い上がりだとわかっている。
それでも幽霊になってもやりたい事をしている事がわかった。それは良かった。まだ、幽霊としてでも元気でいるならそれでいい。少しはそう思えた。私のアカウントからいい曲ですねとメッセージを送る。ありがとうと返事が帰って来た。嬉しくなる。
ふと思った。麗華の真似をして曲を作ってみよう。勿論最初から上手く行くはずないし、そもそも編曲もアプリを使った編集もした事がない。一曲作るのに1年以上掛かるかもしれない。それでも何かやることを見つけて取り組んだ方が前に進める気がする。
いつか麗華に聞いてもらえるかもしれない。確率は低いけど、ゼロじゃない。ほんの少しだけ夢を見よう。少しだけ前を向こう。
麗華に少しでも誇れる事があるように生きていこう。




