詩織3 後悔
短いです。
私の我儘だとわかっているけれど、優香さんに詩織が死んでいる事を伝えたい。段々とその気持ちが強くなっていた。
優香さんの為、とそう思う自分と少しでも罪の意識をなくしたいだけだという自己嫌悪の混ざった思いが消せない。ずっと迷っていた。
話をすれば迷惑をかける人がいる。家族、そして紗月。紗月の家族にも迷惑をかける。だから駄目。話しては駄目。
そう思っていたはずなのに連絡を取ってしまった。優香さんに連絡を取った後も本当に話していいのか迷っていた。いざとなったら誤魔化せばいいと考えていた。
お花見の場所を麗華との思い出の公園を選んだのはそこで自分なりの結論を出したかった。一人で行く勇気はどうしてもなかった。
お花見に行った日、麗華と出会った公園を見て、麗華と話したブランコを見て決断した。
もう、何がきっかけで話しかけたのか、どんな話をしていたのかも思い出せない。けれど、麗華といた事だけは絶対に消えないし、消したくない。
私が優香さんと同じ状況に置かれたら絶対に生きていると信じる。例え可能性が限りなくゼロに近くても。そして麗華の面影を追い続ける。私が公園で麗華との事を思い出したように。きっといつまでも忘れる事は出来ない。
麗華の痕跡を見る度に麗華の今を考え、死んだという思いがよぎり、何とか否定する。その繰り返しをする。母親の優香さんであればなおさら。
だから私は決めた。優香さんに話すと。紗月が何か私の想像を超える力を持っている事は分かっている。死体を消せる方法があるのだから、人を殺すことも簡単に出来ると思う。それでもいい。自分の思いを伝えよう。優香さんに伝えると。その結果紗月に殺されるなら、殺されなくてもどんな目に遭ってもいいそう決めて意思を伝えた。
紗月は私の意志を尊重してくれた。そして今日優香さんに自分の考えを伝えた。達成感は無くて後悔だけが残る。本当に話してしまって良かったのか。もっとうまく話せたはず。何で紗月を巻き込んでしまったのか。後悔だけが残る。それでも私は進むしかない。
友達でも印象に残っている事とかは違いますよね。




