母の脅し
「あんまり時間がないから本題に入るね。明日のことだけど、詩織ちゃんのしたいようにさせていいわよ」
「え⁉本当に?」
「勿論、無制限ではないよ。あなたには盗聴器を付ける。話の内容はこちらでも聞かせてもらうわ。それで問題ありと判断すれば、即座に実力行使にでる。何をするかは言わなくてもわかるよね」
こんなにあっさり許してもらえるとは予想外だ。麗華は何を言ったのだろうか?気になる。
「さっき思いっきり、言っていたけど」
「大丈夫よ。この電話は特殊な電波使っているから、盗聴される事はないから」
じゃあさっきの回りくどい言い回しは何だったのか。そもそもそんな変な電波があるのか。世の中変なもので溢れている。というかそう意味じゃないんだけど。
「まあさっきのはちょっとした社会勉強って事で」
「あっそう」
「話し戻すけれど、麗華ちゃんもそれでいいよね?もし無理なら強硬手段に出る事になるわ。さっき言った通り、あなたじゃなくてあなたのお母さんにね。脅すことになるけど、こっちにも事情があるの。可能な限り最終手段は取らないから。ごめんなさい」
さっきの事をもう一度わかりやすく言っているけれど、それなら本当に最初の話は要らなかったのではないかと思ってしまう。
「勿論、大丈夫です。ありがとうございます」
電話越しに麗華の声は聞こえないので私が変わりに答える。
「大丈夫だって。ありがとうって言っている」
「こちらこそ、迷惑かけてごめんなさい。これからも詩織のことよろしくお願いします」
「とんでもないです。元々は私のせいだから、むしろ迷惑かけてばかりで申し訳ないです」
これはわざわざ伝える必要はないだろう。
「お母さんありがとう。明日も何とか上手くやるね」
「頑張ってね」
電話は10分くらいで終わった。母の許しを得られたので安心する。
「明日の事は、麗華の作戦もあるし、最終的にお母さんが何とかしてくれるなら私は詩織のさせたいようにさせるで大丈夫?人任せばかりで悪いけれど、良い案浮かばないし」
「それで大丈夫。私のは作戦って程じゃないけど」
「そうなんだ。良く分からないけれど、よろしくね」
「任せて。じゃあ私は出掛けるから」
「え?何で?何処に?」
「秘密。明日の為だから」
「わかった」
そういうことなら深くは聞かない。何処に行くのだろうか。優香さんの所くらいしか思いつかないけれど、絶対に姿を見せたくないって言っていたから違う気がする。
ともかく、麗華を信じるしかない。後はずっと、明日の事が心配でそわそわしながら過ごした。
結局今日は何も手が付かなかった。夕飯の味も覚えていない。せっかくのサンドイッチ、味わって食べなきゃもったいないのに。
22時前、明日に備えて早めに寝ようとしていた所、麗華が戻って来た。
「あ、寝るところだった?」
「うん。でも大丈夫。用事は済んだの?」
「そう。済んだよ。まあ明日の事なら解決したから大丈夫。安心して行って」
「わかった。ありがとう」
「何していたのかとか何処行ったのとか、聞かないのね」
「言いたくないって言っていたから。それに信じている」
「そう。ありがとう」
「こちらこそ」
「じゃあ、私は詩織の所に行くから。お休み」
「お休み」
そういったものの、結局明日の事が気になり、全然寝付けなかった。
今週は所用がある為、今日と明日更新し、水曜木曜の投稿を休ませていただきます。




