お花見準備
土曜日。詩織とお花見を約束した日。幸いな事に晴れた。水・木と雨が降っていたから桜が散ってしまうのではないかと心配していたけれど、大丈夫そうだ。良かった。
少し散り始めていたのでこれより遅い日だったら間に合わなかったかもしれない。いい日を選んだと思う。流石は詩織だ。
ここ数日は何となくそわそわしていた。昨日も早起きしないといけないのになかなか寝付けず大変だった。麗華の作ったカクテル・ミュージックを掛けてすぐ寝たのは偶然だろう。多分。絶対。
天気が心配で何度もアプリで確認してしまった。何度見たって変わらないし、変えられないのに。
今朝は早起きして弁当を作った。北野さんに手伝ってもらったけれど。子どもの頃から料理をすることは好きだったのでよく手伝いをしていた。その為、最低限の事はすることが出来る。
姉さんは料理がすごく上手だけれど、私は友達に自信を持って出せる程ではない。何か買うことも考えたけれど、詩織がお菓子を作ってくると言っていたのでついお弁当は私が作ってくるねと言ってしまったのだ。
ぶっちゃけ後悔しているけれど、一度言ってしまったからには約束は守らないといけない。詩織との約束なら尚更。
それで、北野さんに手伝ってもらいお弁当を作ることにしたのだ。一人で作ってはいないけれど、詩織もお父さんと一緒に作ると言っていたからセーフのはず。詩織のお父さんは元パティシエであり、お菓子作りのプロなのだ。ならばこっちもプロに頼ろう。ということにした。
まず、おにぎりを何種類か作る。定番の鮭と昆布、お花見ということで、ちりめんじゃこと野沢菜を使ったおにぎりも作る。梅は私も詩織も苦手なため作らない。それぞれ3つずつ作ったけれど、二人で9個は多すぎたかもしれない。
そしておかずに卵焼きと唐揚げを作る。出来ればもう数種類作りたかったけれど、私主導ではこれが限界だった。お弁当箱の隙間はプチトマトと茹でたアスパラで埋めた。おかずの種類が少ない分は飲み物を持っていくことで許してもらおう。
料理が終わると急いで化粧をする。普段は休日出掛ける時に軽くするくらいしかしていないけれど、姉さんに教えてもらったことがあるので一応はすることが出来る。姉さんは化粧もすごく上手い。けれど、慣れない化粧でてんやわんやしてしまい、結局北野さんに手伝ってもらうことになった。ファンデーションを塗るのにも手間取ってしまった。
こんな状態では高校卒業した後、上手く化粧出来るようになるか不安になる。数をこなしていくしかないのだろうけど。
服も新しいものを買ってしまった。買ってから流石に舞い上がり過ぎだと反省したけれど、せっかく買ったものだ。着ない手はない。自画自賛になるけれど、似合っていると思う。
約束の時間は11時。気が付くともう家を出ないといけない時間になっていた。汗をかいて詩織に会う訳にはいかないので走ることは出来ない。早歩きで向かう。




