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麗華3 交流

 小学校に入ってから数か月経ったある日、私はいつもと同じように一人でブランコに乗っていた。すると一人の少女が話し掛けてきた。それが詩織(しおり)だった。


「あの、これ」

 

 私は最初話し掛けられたことに気が付かなかった。普段話し掛けられることなんて無かったからだ。


「あの!これ、あなたのだよね!」

「え?なに?わたし?」

「うん。この栞あなたのだよね」


 詩織(しおり)が差し出して来たのは一面に夜空の星が描かれた栞だった。

 3日前に私が無くした物だ。いつの間にか無くなっていたけど、カバンの中にも机にも無かったので諦めていた。家にあった物で確か模様が綺麗だからという理由で使っていた。

 私が読んでいた絵本や児童書には栞なんて必要なかったけれど、栞を使うのは大人なイメージがあったから、使う事で少し大人に鳴れていた気がした。今思うと母の真似をしていたのだと思う。今でも本を読むときはスピンが付いていても栞を使ってしまう。


「ブランコの前にね、落ちていたの。前絵本に挟んでいたのみたよ」

「うん。わたしの。ありがとう」


 その日の話はそれで終わった。

 詩織(しおり)はその後毎日公園に来た。公園で会う度に話した。詩織(しおり)は同じ小学校に通っていたけれど、クラスが違った為、お互いに面識はなかった。


 私の家の事も知らなかったらしい。それが嬉しかった。詩織(しおり)はこの公園で友達と会っていたらしい。住んでいる所も知らない秘密の友達だったそうだ。

 その子と会っていた時に私の事を見ていたとのことだ。言われてみればたまに遊びに来ていた子が詩織(しおり)だった。言われるまで気がつかなかった。


 その子が他の子と遊ぶのを嫌がったので話し掛けてはこなかったけれど、気になっていたそうだ。その子は急に引っ越してしまいショックで数日公園に来られなかったらしい。 

 それで栞を返すのに数日経ってしまったと言っていた。ごめんねという詩織(しおり)にありがとうと私は返した。最初は話し掛けてくる詩織(しおり)に困惑していたけれど、気が付くと詩織(しおり)の話に聞き入っていた。元々一人が好きだった訳じゃない。一人でいるしかなかった。


 だから詩織(しおり)の話を聞くのは楽しかったし、話を聞いてくれるのも嬉しかった。当時の私は人と話した経験が少なかった為、要領を得ない事ばかり言っていたと思う。それでも詩織(しおり)は笑って話を聞いていてくれた。


 詩織(しおり)に早く会いたかったけど、詩織(しおり)は16時前には帰ってしまう。いつも時間が経ってほしいけど、経ってほしくないと矛盾した気持ちでいた。公園にずっと居たかった。

 詩織(しおり)と話していたかった。家に帰りたくなくて行っていた公園に行くことが楽しみになっていた。学校が辛くなくなった。けれど、いつ家の事がばれるのかとも思っていた。家のことがばれてしまえば他の子と同じように私と遊んでくれなくなるだろう。そう思い込み恐れていた。


 そんなある日だった。公園に行くと詩織(しおり)が少女と話していた。何月かうろ覚えだけれど、外は暑く、手入れされていない公園の周りは雑草が茂っていたので夏だったはずだ。

 詩織(しおり)が前に言っていた友だちかと思ったけれど、引っ越したと言っていた。詩織(しおり)以外に話しかけるのは少し気が引けたので公園の外側を歩いて近づいていった。


 近づいて見るとそれはクラスメイトの子だった。クラスで孤立しており、他の子と関りを持っていなかった私は、咄嗟に木の陰に隠れた。殆ど話した事はなかったし、3年生になった時のクラス替えで別のクラスになったのでもう名前も覚えていないその子は詩織(しおり)に私の事を話していた。


「あのね、さっきから言っているけど、あの子と遊ばないほうがいいよ」

「えーなんで。私麗華(れいか)ちゃんの話聞くの好きだよ」

「だってお母さんが言っていたもん。あの子と遊んじゃ駄目だって。あそこの家の人変だから遊ぶと目を付けられるかもって」


 その話を聞いた時、私の世界は止まったように感じた。もう、詩織(しおり)と話すことが出来ないと思った。私に出来た唯一の友達。ただ一人の話し相手。その詩織(しおり)が私の元からいなくなる。頭が風邪を引いたときみたいにぐらぐらした。絶望で息をすることを忘れていた気がする。頭の中を詩織(しおり)との思い出が走馬灯のように掛けていた。


「えーでも、私は麗華(れいか)ちゃんと遊ぶよ」

「私の言うこと聞いているの?」

「うん。聞いているよ。でも麗華(れいか)ちゃんといると楽しいもん。麗華(れいか)ちゃんのこと大好きだもん」

「でも、家族が変だってお母さん言っていたもん」

「じゃあないしょで遊べばいいよ」

「そんなこと出来ないでしょ」

「出来るよ。私前もらなちゃんとないしょで遊んでいたよ」

「誰それ。私、教えてあげたからね。後は知らない!」

「ありがとう。でも大丈夫だよ」


 話を終えたクラスメイトは走ってどこかに行ってしまった。私は涙を流していた。その涙が感動の為なのか、詩織(しおり)への感謝なのかそれ以外だったのか今でも分からない。恐らくその全てだったのだろう。


 その時から詩織(しおり)は私の生きる指針になっていた。

子供の話し方がしっかりしすぎている気がしますが、読みにくいのもよくないと思うのでこんな感じになりました。皆さんにとってはどうでしょうか?

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