北野1 北野の思い
短いです
「このまま紗月様のなさりたいようにさせてよろしいのでしょうか。紗月様は本日、危険な目に遭いかけました。片桐星花の件もあります。今後も似たような事があるかもしれません。お止めになった方がよいのではないでしょうか」
電話での定期報告の時、つい言葉が出てしまった。普段ならただ報告をすれば終わりだ。
差し出がましいとはわかっているけれど、奥様に言わずにいられなかった。このまま紗月様のしたいようにさせていればいつか取り返しのつかない事をしてしまうかもしれない。紗月様が心配だ。
「心配してくれてありがとう。北野。でも大丈夫よ。貴女達が見ていてくれているし」
「そうかもしれませんが」
「後ね、若いうちくらい好きにさせてあげたいの。私の高校時代なんて死体隠ぺいより酷い事していたから。紗月のしている事なんて可愛いもんよ」
「…そうですか」
何したんだ?この人。
「紗月は自分で思っているほど子供ではないけれど、大人でもない。いざという時なら非情な事もためらわない。けれど、今はまだ色々と悩んで考える時期。殺人以上になるとそう簡単に決断出来ない。それでいいの。もしそれでこれから先は犯罪に手を染めないと決めるならそれでもいい。色々経験して悩んで欲しいの」
「承知致しました」
「不安はわかる。貴女の思いの丈を紗月に伝えてみたら」
「よろしいのですか?」
「勿論。それで貴女が大丈夫だと思えば見守って。もし危ういと感じたら貴女の判断で止めていいから」
「わかりました。そうさせていただきます」
次の更新は明後日の予定です。
場面転換だとどうしても短くなってしまいがち。
同じ話に複数の視点が入ってしまうのは違和感がありますが、身近過ぎるのもよくない気がして悩んでいます。




