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詩織の寝顔と麗華の思い
私は詩織の部屋に窓から入った。死ぬ前は数回遊びに訪れただけなのに今は毎日入っている。不思議だ。
詩織はすうすうと寝息を立てながら寝ている。詩織の寝顔を見ると幸せな気持ちになると同時にもう二度と話すことは出来ないし、触れる事も出来ない事実を思い出し。悲しくなる。
自業自得なのだからそんな資格はないのに。詩織の顔をまだ見られる。それだけで十分幸せなのに。それ以上を望んでしまいそうになる自分の強欲さが嫌になる。自己嫌悪に陥り嫌な気分になってしまったけれど目的を果たさないと。
詩織の顔を覗き込み、話しかける。
「えーっと聞こえているよね。詩織の中にいるなんか。明日の15時に紗月の家に遊びに行く予定だよね。その時に一時的に姿を現しなさい。話し合いをしましょう。詩織には上手く誤魔化すから。もし断った場合、あんたの存在をばらすから。ついでに私の姿も見せる。そうすれば信じないわけにはいかないでしょ」




