脅迫状3
「なるほどね。私は良いと思う」
「その案で行こう。いつやる?」
「早い方がいいでしょう。手紙には期限は書いておりませんでした。相手の気分次第で突然行動に移す可能性があります」
「それなら今夜ね」
「そうしよう」
「話しかける内容を決めましょう」
今夜実行するとなると時間がない。三人で話を進めていく。
場所をリビングに移し、ジュースやお菓子を食べながら話を進める。太るぞという麗華の言葉を無視し、英気を養うという事で自分を誤魔化す。普段は食べていないから大丈夫!…多分。
2時間くらい話し合った末、案がまとまった。疲れた。そこで一度休憩にする。
つい、リビングのソファーでうとうとしていると北野さんが話し掛けてきた。
「お休みのところ申し訳ありません。先ほど依頼した調査の結果が届きました。今よろしいでしょうか」
「もう出たんだ。本当に早いね。麗華にも聞かせたいから呼んで来る」
「何言ってるの。寝ぼけてんじゃないの」
よく見ると目の前にいた。そもそも、リビングで話をしていたのだから当たり前だ。どうやら麗華の言う通り寝ぼけていたようだ。恥ずかしい。
「北野さん、報告お願いします」
「はい。こちらの画像をご覧ください。これは一昨日の夜のラーソンの防犯カメラの映像の一部です」
画像にはラーソンのポストが映っていた。そして手紙を投函しようとしている人。それはどう見ても詩織だった。
「詩織だね。しかもパジャマだ。詩織がパジャマで外に出るなんてありえない」
「同感。詩織なら、外に出るときは絶対に着替えるよ。例え夜でもね。このラーソン、詩織の家の近くの所だよね」
「うん。あなたで実験した所。これで決定だ」
あそこのコンビニエンスストアは詩織の家から歩いて5分くらい。麗華が戻ってくる前に何とか戻れるだろう。パジャマだったのは着替えていると麗華が戻ってくるまでに間に合わないかもしれないと考えたからだろうか。
「この映像が取られた時間は22時17分です」
「丁度私があんたの部屋に行っていた時間ね」
「指紋と筆跡鑑定の結果も届いております。指紋は詩織様のものと一致しております。ですが、筆跡は一致しませんでした。指紋は封筒と手紙のどちらにも付いていたので、少なくとも詩織様は手紙に触っております」
「なるほどね。じゃあ、北野さんの推測通り、もう一つの人格か幽霊だね」
「実行前に確証が得られて良かった。これで安心して実行できる」
「そうね」
本番はこれから。さてどうなるのか。




