脅迫状2
そこで気がつく。普通に話していたけど、北野さん麗華が幽霊として存在していることを受け入れている。というより知っているようだ。
「北野さん、麗華のこと知っているの?」
「確証はありませんでしたが、奥様から紗月様の話を聞いている限り幽霊として存在している可能性が高いと伺っておりました。以前、わざとらしく幽霊の話を出してきたため、暗に伝えているのだろうと仰っておりました」
流石だ。察してくれると思っていた。
「その通りです」
「今回はこれでも相談した扱いにしてあげるけれど、次ははっきりと言うようにとの事です」
「わかりました。肝に銘じておきます」
やはり、母は全て見抜いていたようだ。これから隠し事はしないようにしないと。今後相談無しに勝手な事をすれば、流石の母も家族を守る為に強引な手段に出る事も十分にあり得る。
「片桐家は元々霊媒師として有名な家ですので、死後霊となる方法を知っていても変ではないとも言っておりました。ただ助けを求めていないことから一先ず様子見でとの命を受けております」
「今のところ麗華との関係は問題ないので様子見でお願いします。母にもそう伝えておいてください」
「承知いたしました」
夕食を済ませ、麗華を待つ。北野さんが居てくれて良かった。事情を知っている人が一緒に居てくれるだけで少し冷静になれる。一人じゃ脅迫状の事で頭が一杯だった。
22時半ごろ麗華がやってきた。いつもとは違い、部屋に北野さんが居ることに困惑している。一度窓から入って来たのにすぐ出てしまった。窓を開けて麗華に手紙を見せ、事情を話す。
「なるほどね。そういうことなら仕方ないわね」
そういってあっさりと北野さんに姿を見せた。潔いなあ。
「初めまして。片桐麗華です。死んでいます」
何その自己紹介。
「初めまして。北野と申します。苦無白家に通いで家事手伝いをさせていただいております」
北野さんは幽霊を見ても平然と話している。流石だ。
「それでどうするの?手紙の内容に従うの?私は嫌だけど。それに癪だけどあんたと詩織を引き離すことは得策と思えない」
「同感。あなたを引き離すこともね。でも相手が分からないとどうしようもないし、色々知りすぎていて只者とは思えない」
「その件ですが、恐らく手紙の主は詩織様です」
次回投稿は明後日の予定です。




