取り決め
麗華と協力関係になったといってもすぐに何かをした訳でも、何かあったなんてこともない。元々ストーカー行為はたまにしか起きていなかった。こちらとしてもできることは麗華に見守ってもらうことくらいだ。
協力関係になって一番にしたことは、私の部屋に入ってくる際のルール決め。私にもプライベートがある。何時でも自由に入ってこられては少し…かなり困る。
その為、窓にカードを立て掛けておくことにした。子供の頃好きだったアニメのカードで、ゲームに読み込ませることでアイテムを手に入れられるというものだった。私は当時、ゲームを持っていなかったし、カードを集めていた訳でもなかった。そもそもそのゲームに興味が無かった。なのに、おもちゃ屋で無料配布していたそのカードだけは大切にしまってあった。
何となく捨てられずにしまってあったので有効利用させてもらおう。ルールは簡単。そのカードがある時は入ってはだめ。それだけ。勿論緊急時は別。横向きに置いてある時は不在。行き先は机の上にメモしておく。最初の内は忘れそうで怖いけれど直ぐに慣れるだろう。
学校が始まるまでの数日間は毎日詩織と会っていた。
詩織が相談できる人は私しかいない。私としても、会えることは嬉しいし、キャンドルを使って精神を落ち着かせることができるので都合が良かった。その成果があったのか詩織は日を追うごとに顔色がよくなっていた。おかげで、私が使った薬の事を誰にも言わないよう言い含めることができた。
しかし、学校が始まる前々日に麗華の両親が警察に相談したとの話が近所で話題となった。すぐにスマホの位置情報が最後に示していた場所からスマホと財布・手紙が発見された。防
犯カメラの映像が途中でなくなっていることから、車を持っている人と駆け落ちしたと疑われているらしい。ただ、怪しい車は見つからず、当然のことながら防犯カメラでそれらしい人が見つかる事もなく、捜査は難航しているらしい。
元々片桐家は近所でも話題になるほど、荒れていた。そのせいもあり、麗華の家出(駆け落ち)はすぐに話題となった。私はみんなどこから情報を仕入れているのかと疑問に思いながら話を聞いていた。
それよりも問題は、せっかく改善に向かっていたのに、この話のせいで詩織がまた曇り始めたことだ。麗華からも少し落ち込んでいるとの報告を受けた。学校でも話題になるだろう。それが心配。
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