帰り道の検証
詩織の家を出て帰路につく。最近は暖かくなってきていたけれど、夕方はまだ寒い。何か羽織るものを持ってくれば良かったと後悔する。麗華は約束通り着いてきた。
麗華の事は素直に母に話すことが正しい。母に相談せずに行動した事が今の結果を招いているから。けれど、麗華に敵意はなさそうだ。気になる事もある。もう少しだけ黙っていよう。少なくともこれから確かめたい事を確かめてから決める事にする。
5分くらい歩いたところで話しかける。
「あなた、本当に幽霊なんだよね?」
「え?今更?遅くない?昨日説明したよね?」
「まあ、そうだけど一応確認しておかないと。私の見ている幻覚じゃないと証明したいの。試していい?」
「まあいいけど。なにをさせるつもり?」
私は目の前にあるコンビニエンスストア『ラーソン』を指さした。
「あそこにコンビニがあるでしょ。そこのプリンが何個あるか見てきて教えて。数が合っているか確認する。後、何でもいいから新商品一つ教えて」
「なるほどね。わかったわよ」
麗華はコンビニに向かうと5分くらいで戻ってきた。
「プリン何種類かあったけど、1種類教えればいいよね?プレミアプリンが6個あった。同じスイーツコーナーの上に贅沢抹茶のロールケーキっていう新商品があったわ」
「わかった。ありがとう」
コンビニに入る。スイーツコーナーに向かうと、確かにプレミアプリンが6個あった。一つ上の段に贅沢抹茶ロールケーキが置いてある。棚札には新商品と書かれたPOPが貼ってある。麗華の言っていた事と一致している。さすがに幻覚ではこれは分からない。最近はラーソンに行っていなから新商品の事は知らないし、プリンの数なんて勿論事前には分からない。
「私の言った通りでしょ。これで信じた?」
麗華が話かけてくる。店内なので声を出さずに頷く。
元から幻覚だとは思っていなかったけれど、これで幽霊だと確信が持てた。心は決まった。




