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お昼はパン

 お腹が空いて目を覚ました。鳴って無いか気になるけれど、確認するのは恥ずかしい。13時過ぎ。思ったよりも早く目が覚めてしまった。


 スマホの音楽を止める。詩織(しおり)はまだ寝ているけれど、さすがに充電が持たない。少し充電させてもらう。起きてから充電させてもらったと伝えよう。詩織(しおり)はまだ起きていない。


 寝息を立てて寝ている。これだけしっかり寝られているなら安心そう。まだ起こさない方がいいよね。  いつ目が覚めるかわからないから、外に出ていくこともできない。本当によく眠っている。詩織(しおり)は元々しっかり寝るたちらしい。子供の事はどちらかと言えば眠りが浅い方だったのにいつのまにかよく眠るようになったと言っていた。そのせいで学校に遅刻しそうだとよく笑っていた。


「あんた起きたんだ」

「なんかお腹が空いて目が覚めた」

「あっそう。お昼どうするの?詩織(しおり)起きていないから出ていかないでしょ?」

「部屋で食べられるように、パン持ってきている」

「用意がいいのね」

「まあね。そういえば昨日の夜は詩織(しおり)どんな様子だった」


 私はアンパンの袋を開けながら尋ねる。


「一晩中、何か考えていたみたい。まあ今回の事を考えていたんだと思う」

「そうだよね。すぐには吹っ切れないよね」

「私を殺したことなんて気にしなくていいのに」

「本当にね」

「あんたは気にしろ」

「私は殺してないし」

「それはそうだけど」

「冗談だよ。まあ死体処理までしたし。すぐには吹っ切れないよね」


 そんな他愛のない話をしながら菓子パンを3つ食べた。食べ過ぎた気がする。14過ぎに詩織(しおり)が目を覚ました。


「あ、紗月(さつき)…。おはよう?おはようじゃないか」

「そうだね。大丈夫?調子どう?」

「うん。ちょっとは良くなった気がする。ずっと居てくれたんだ」

「勿論。詩織(しおり)食欲どう?お腹が空いている?それともまだ寝る?」

「お腹空いている…」

「食欲あるみたいで良かった。何か食べる?キッチン借りていいなら何か作るよ。勿論食材は私が買ってくるけど。それとも外に食べに行く?」

「…一人にはなりたくない。今家に余り食材ないの。それと、リビングにあんまり居たくない…。それに外に出たくない。我儘言ってごめんね」

「あんなことがあったばっかりだもんね。当然だよ。全然大丈夫。じゃあデリバリーにする?」

「うん」

「何頼む?」

「何でもいいな。紗月(さつき)何か食べたいものある?紗月(さつき)も食べてないよね?紗月(さつき)の好きなものでいいよ」

「え?ああうん。食べてないよ。ありがとう」

「あーれーパン3つも食べたのにいいの?太るよー」


 麗華(れいか)が答えられないのをいいことに煽ってくる。気にしない。気にしない。さてどうするか。あまり高いものは駄目だし、この部屋で食べるようだから匂いの強いものも駄目だ。それに食べやすいものがいいだろう。となると、パンを頼むのがいいか。食べたばかりだけど仕方がない。

 今はアプリで何でも頼める。便利な時代だ。ついでに昨日、今日と充電させてもらったことも伝える。詩織(しおり)は笑って許してくれた。


「パンでいい?」

「うん。大丈夫」


 スマホで適当なパン屋を探し、詩織(しおり)に見せる。二人で選んでデリバリーを頼む。到着まで15分とのこと。


詩織(しおり)、今キャンドル焚いているけど、大丈夫?」

「言われてみればいい匂いしているね。大丈夫だよ」

「良かった。よければいる?家にまだあるんだよね。リラックス効果もあるみたいだから使ってみない?」

「そうなの?ありがとう。それなら少し貰って使わせてもらうね」

「うん。是非使って」

「後、服洗って返すから少し待って」

「あ、気にしないで。いつでもいいから」


 そんなことを話している内にパンが届いた。料金は割り勘にした。割り切れなかった分は充電させてもらったからと、私が払った。詩織(しおり)はいいと言っていたけれど、押し切った。パンは美味しかったけれど、今日はもう夕飯を食べられそうにない。田原(たはら)さんにお昼を食べすぎて夕飯は食べられないので作らなくて大丈夫とメッセージを送ることにした。すぐにわかりましたと返信がきた。田原さんの返信はいつも早い。ついでに母にも連絡をする。


 午後は詩織(しおり)にあなたのせいじゃない。ということをやんわりと伝えた。キャンドルの効果と合わせて効くといいのだけれど。洗脳みたいなことはしたくないけれど、今のままではこれからの生活に支障が出かねない。

 そうこうしているうちに17時半近くなっていた。そろそろ帰らないと詩織(しおり)のお母さんが帰ってくる。


「そろそろ帰るけど、その前にトイレを借りるね」

「うん。どうぞ」

「ありがとう」


 トイレに行く際に詩織(しおり)にばれないよう、麗華(れいか)に手招きする。麗華(れいか)はしぶしぶといった感じで着いてきた。一緒にトイレに入る。


「何?あんたのトイレなんて見たくないけど」

「私も見て欲しくないわよ。今日帰るとき一緒に来て」

「なんで?」

詩織(しおり)の事で大事な話がある」

「本当でしょうね?嘘だったら許さないよ」

「はいはい。わかったら出て行ってね」


 トイレの後、部屋に戻り詩織(しおり)と明日について話す。

「今日はそろそろ帰るね。明日もまた会いたいけど、何か予定ある?」

「何もないよ。私も会いたい。でも、明日は一日お母さんがいる」

「そっか。じゃあ私の家に来る?こっちは一日いても大丈夫だよ」


 詩織(しおり)のお母さんは子供が連日遊んでいるのはあまり快く思わない人だ。悪い人じゃないけれど、融通はあまり聞かない。

 宿題という言い訳は何度も使えない。2~3日くらいなら問題ないと思うけれど、念のため明日は別の場所で会った方がいいだろう。


「うん。お邪魔していい?」

「待っているね。何時頃来る?」

「9時頃行っていい?」

「大丈夫。一日空いているから」

「わかった。ありがとう」

「じゃあこれで帰るね。また明日」

「うん。また明日」


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