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第6話






 電車で郊外へと移動する。

 この世界は前世ゲームと被っている点が多い。

 つまり特定の異世界門に関して、中身も含めて同じなのでは?と思った。

 なので今回、それを確かめるためにわざわざ人気の無い田舎までやってきたのだが……。


「で、何でお前居るのよ?」


「え? だってどこに行くのか気になるじゃない?」


 何故か大宮が付いてきた。

 連絡など一切していないのに。

 こいつストーカーか?


「そもそもお前、学校どうしたよ」


「今日は土曜で休みでーす」


「ちっ」


「何で舌打ちするかなぁ~?」


 本来あまり知られたくないものなんだが。

 でもまあ考えようによっては、コイツを投げ込んで多少強化しておくのも悪くない。

 このままでは完全に足手まといだからだ。

 それに場所を知っていても鍵が無ければ入れない。


「それで、こんな所に来て何があるの?」


「さてね」


「……ハッ! まさか人気の無い所なのを良い事に私を押し倒し―――」


「紫の鍵」


 空間収納から目的の鍵を取り出すと、目の前に突如として紫色の門が現れた。

 そして手の中にあった鍵が扉へと吸い込まれていく。

 するとゆっくり音を立てて扉が開く。

 中は謎の光で覆われており、見えなくなっている。


「どうしてこんな所にゲートが?」


「ほら、さっさと入れ」


 そう大宮を急かして中へと入る。


「……え~、何これ?」


 周囲は大きな都市のような場所。

 しかし巨大なビルなどはほとんど倒壊しており、あちこちで火災が起きていた。

 さながら特大の自然災害で壊滅した主要都市のような光景。


「さっさと来い」


 周囲をキョロキョロしている田舎から都会に出てきた人みたいになっている大宮を連れて歩く。

 そうして目的の場所を見つけた。


「ここが安全エリアだ」


 瓦礫の都市の中で唯一全く壊れていないコンビニみたいなサイズの店。

 中に入ると様々な武器やアイテムが並べられていて、奥には店主であろうかフードを被った人間が立っている。


「……いらっしゃい」


「とりあえずコイツにチュートリアルクエストを」


 そう言うと大宮が変な声をあげた。

 見てみると彼女の目の前にゲームのような表示がボブアップしていた。


「何、これ?」


「チュートリアル」


「いやいや、そうじゃなくてさ!」


「じゃあ何だ?」


「なんか出てきた~とか、チュートリアルってなんだよ~とかさ?」


「めんどくさいなぁ」


 頭をかきながら大宮の方へと向く。


「ここは訓練場だ。 ここでは怪我も痛い思いもするが死ぬことはない。 ここでお前戦えるようになるまで訓練しろ」


「はぁ!? 意味わかんないんですけど!?」


「そもそも逃げるスキルだらけでしかもそれを使い込んでレベル上げてるのが問題なんだよ。 やる気があるなら戦う術を学べ。 武器適性があるなら全ての武器をある程度まで使えるぐらいにレベルを上げるなりスキルを身につけろ」


「……そもそもそんな簡単にスキルが取得出来る訳じゃ―――」


「ここでは初級スキルぐらいなら頑張れば取得出来る。 そういう所なんだよ」


「……意味わかんない」


 ここは前世のゲームで大変お世話になるチュートリアル系クエストエリアだ。

 どの武器や職業を選ぼうかを悩んで調整するための場所である。

 つまりここで無限湧きする練習台を叩きながらゲームがどういうものかを理解するためのクエスト。

 そして何より重要なのは、ここでは初級スキルが取り放題だという所だ。

 まずはここで基本スキルをGetし、そして先に進む。

 取ったスキルが気に入らなければ別のを取り直せる。

 それで枠が埋まって気に入らないなら、もっと先にあるスキルリセットアイテムでも使えばいい。

 まあ要するにそういう所だ。


「ほら、武器もその棚のは貸し出して貰えるから適当に色んな武器で基本スキルを取得しろ」


「……ええぇ~」


 何やら複雑そうな顔をしているが、俺もコイツにばかり構っていられない。

 装備を選んでいる所を放置して、さっさと奥へと進む。


「ネクロマンス:スケルトン」


 ボロボロの剣を握り締めた骨人間が地面からはえてくる。


*ネクロマンス

 魔力を消費して死霊系モンスターを召喚するスキルだ。

 ただ問題なのはスキルレベルに依存しており、低いと低級モンスターしか召喚出来ない。

 ラスト・カースやサクリファイスを併用しないと強力なものが出せないのがネックだ。


*ラスト・カース

 ネクロマンスにより召喚された死霊系モンスターが撃破される際に残す最後のスキル。

 主に倒した相手へのダメージやネクロマンスに必要な魔力値の補助に別モンスターを召喚するなど効果は多彩だ。

 ただし中には魔力などを消費しないと使用出来ないものもある。

 例を出すなら「亡国の騎士」を倒すとラスト・カースが発動して「悪魔騎士ガリア」が召喚される。

 しかしこれには条件があり「召喚のための魔力値が必要」なのだ。

 要するに再度、召喚する魔力を取られる訳で。

 まあそれで亡国騎士よりも強いモンスターが召喚されるのだから構わないのだが、いちいち亡国騎士が撃破されないとダメだという点がネックでもある。


*サクリファイス

 ネクロマンスで召喚したモンスターが撃破された数に応じて、その魂を生贄にするスキル。

 これを行うと低レベルでも上位の死霊系モンスターを召喚可能。

 非常に強力だが一度使えば、また一定の撃破数を貯め直す必要が出てくるのが使いにくい。



 とまあ俺が今持っている主なスキルはこれだけだ。

 あとは綺麗に封印されている。

 なのでとりあえずここでネクロマンスだけでもレベル2にしておきたい。

 ついでに言えば何か封印スキルが解放されてくれないかなという淡い期待もあったりするが。


 考え事をしていると、いつの間にかスケルトンが潰されていた。

 よく見ればその辺に居た低レベルの訓練用モンスターが消えていて実戦用のグレイトウルフがこちらに牙を剥いていた。


「ネクロマンス:亡国の騎士」


 とりあえずまずは戦闘回数を増やしながらもう一度戦闘に慣れる所からスタートだ。

 さて、気合入れて頑張りますかね。









*誤字脱字などは感想もしくは修正機能からお知らせ頂けると幸いです。

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