プロローグ
そう、これはとある暑い深夜の出来事だ
俺、我螺無は大のカレー好き
腹が減ると無性にカレーを食べたくなる
深夜のカレー 心には優しいが身体には厳しい
それは心身が求める最高のカレーではない
何時もならそう思い我慢をして眠りにつくはずが今日は違った
理由は無い 根拠も無い けれど今この瞬間にカレーを作ることで最高のカレーが出来る上がる気がした
思い立ったら吉日だ
夕飯のカレーの残りの具材、スパイス等もある
全ては順調だった、そう恐ろしい程に
慣れた手つきでカレーを作り上げた瞬間 俺のお腹から大きな音が鳴り響く 俺は急いでしゃもじを持ち 気が付く
俺はカレーにばかり気を向けてもう1人の相棒 白米を見向きもしていなかった
思い出した頃には全てが遅い
そう、白米がない
夕飯のカレーで白米を全て食べ尽くしてしまったのをすっかり忘れていた
カレーとライス どちらかが欠けてもカレーライスにはなれない、俺は罪を犯してしまった
カレーは最高 最善の状態で今にも俺に食べられるのを待っている
なのに、そんなカレーを受け止め 俺の口へと運んでくれる君を俺は忘れていた
最高のカレーを今この瞬間食べられない
白米を忘れていた俺への然るべき罰だ
だが、それでも諦めることはできなかった
仕方ないがパックのご飯ならコンビニでも売っているかもしれない
俺は罪を犯し 罰を受けた
けれど俺みたいな罪人にもまだ、やり直すチャンスはあるはずだ
それはこのカレーを美味しく食べることだ、そうに違いない
俺は財布をポケットに入れて家から飛び出す
これは 俺が白米を手に入れ 最高のカレーを食べるまでの物語