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ストーブの暖かなあかりを見ながら

作者: 星野☆明美

私、不安なんだ。

うん。

編み物の腕を取り立ててもらったけれど、なんの資格もとってない自己流だし。次に何を編んだらいいのか、何を編むか決めて材料を探しに出かければいいのか、わからない。

うん、そうだね。

小説の何年か前に書いたものをコンテストに応募したんだけど、幻聴が「賞をあげるよ。金の懐中時計をあげるよ」って囁いてくるけど、自信がないし、何度も騙されたから、疑心暗鬼になっちゃって、不安なんだ。

俺ら、お前を喜ばそうとして、いろいろ言ってるだけで悪気はないよ。

わかるけど、嘘で喜ばせないで。あとでがっかりして、悲しいから。

窓際のバケツの中から、金魚のたてる水音が静かに響く。

鳥籠のセキセイインコたちは、ストーブの余熱で暖かそうに止まり木にいる。

幻聴と会話する。

母にそのことを話すと、いつも、全部自分で考えてることだと言われる。

私はそうは思わない。

病院の先生に小説を書いてるんです、と言ったとき、幻聴のひとたちと、小説の登場人物は同じなの?と聞かれた。

一応、区別はついているけれど、いつかごっちゃになったら、何もかもおしまいだと思う。

愛おしいおとぎ話の女の子を見たあと、しばらく、その女の子の語り口が残っていて、文章をかくと、その女の子の声で考えている。

もっと不安な人たちだってたくさんいるのに、自分のことで精一杯だ。

今は夜。

さあ、眠りにつこう。

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