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カブトムシ La kornoskarabo
悪夢を近頃しきりに見る。
わたしがまた苦しんでいると、甲虫が一匹やってきて夢の端を齧りだした。
どうやら救けようとしてくれているらしい。
だが少しずつしか食べられず、悪夢がさっぱり減らない。
思わずきつく不満の言葉をぶつけると、甲虫は悲しげな様子を見せた。
そしてのろのろと向きを変えて去っていく。
わたしははっとして、今はもうこの世にいない人とのかかわりを思い出した。
――お養母さん――
呼びかけたはずみで目が覚めた。
窓がふるえている。外は大きな夜嵐だ。
でもわたしはもう大人で、怯えても抱いてもらえない。
わたしが一人でお腹の子を守らねばならないのだ。
あの養母のように。
Fino
お読みいただき、ありがとうございました。