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天秤座のとまどい  作者: みきくきり


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スキマ Interspaco


いつくしく虹たちにけりあはれあはれ戯れのごとくおもほゆるかも


――斎藤茂吉







 隙間すきまがあるのが、気になってしかたがない。


 なんとかしてめられないだろうか。


 完全にわたしのまわりを壁で囲いたいのに、何度修繕(しゅうぜん)してもどこかに隙間ができてしまう。


 まるでわたしがわざとそれをつくっているかのように。


 ほら、もう入りこんできたものがある。


 ぺたり、ぺたり、ぺたり。


 顔や首筋くびすじにつぎつぎ張りつき、わたしのうちにあるあたたかなものを無遠慮ぶえんりょに吸う。


 取ろうとしても、その自在に形を変えるやわらかい体をなかなかがせず、無理に剥ぎとって捨てるときずが残り、長く痛む。


 すでにわたしのいたるところにその傷があり、苦しまない日はないのだ。


 もうたくさんだと忌避きひすべくかべをつくるのだが、知らぬうちに隙間ができる。


 わたしはそこからおかし入ってくるものをこばめない……。


 侵入者しんにゅうしゃ正体しょうたいは恋。恋ごころがわたしの命を吸ってふとりゆく。






Fino






加筆した旧作に、新作をくわえました。


(作品の無断使用は、ご遠慮ください。)




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