運動嫌いのカナヅチと、名も知らぬ師匠たち
子どもの頃から運動大嫌いって人、いると思う。
私は運動全般嫌いだし、なんなら運動会の前日は雨になることを願って、てるてる坊主を逆さ吊りしていた。
マラソン大会もずっと歩いていた。もちろん最下位である。
そんな人間だけど、22,3歳のとき。
急に、泳げるようになろうと一念発起した。
我が親友がダイビングのライセンスをとったから、感化されたのだ。
通販で水着を取り寄せて、職場から車で20分くらいのところにある市民プールの回数券を買った。
入ってみると平日午後だから基本じいちゃんばあちゃんしかおらん。
土日も幼児or小学生連れの親子が追加されるくらいでけっこうすいている。
マンガやゲームで主人公(中学生や高校生)が市民プールに行って偶然同級生の女子と会ってウフフな展開を見かける。
なんなら私が持っているゲームにも高校生カプが市民プールで遊ぶそんなイベントがあった。
実際はビキニを着た若い女の子なんていない。
若いママさんがいるけど皆さん長袖シャツタイプの水着だから肌露出はない。
そもそも水泳帽着用で長い髪は結んで帽子の中に入れろって規約があるから、無帽で髪の毛流してるあのキャラたち、現実ルールに則ると追い出されるぞ。
ウォーターガン、シュノーケルのゴーグルやフィン、水に浮かべるボート系は持ち込みは禁止だし。
ゲームは多少嘘をつく。
( っ ‘ᾥ’ c)クワッ
とまあそれは置いといて、慣れるため水中ウォーキングして、ビート板でバタ足練習していたら、4日目くらいで常連のおばあちゃんに声をかけられた。
「あんた最近良く見るねぇ。若い子が通ってるなんて珍しい」
「泳げるようになろうと思って」
そこで常連のおじいちゃんも話に詳わり、泳ぎ方についてお手本を見せてくれると言い出した。
お互い名前を知らないし、しかも私は超近眼だから裸眼では二人の顔がよくわからない。
仮におばあちゃんを師匠1号、おじいちゃんを2号と呼ぼう。
2号「あんたは足を膝から動かしておったが、それじゃ水しぶきがでかくなるだけで進まん」
私「ふむ」
教えると言うだけあって師匠2号はスマートに25mをクロールで泳ぎ、ターンして一度も足をつかず戻ってきた。
目算80歳近いおじいちゃんおばあちゃんなのにすごい。←ものすごい偏見
1号も「さっき5mくらいで立ち上がってたでしょ。息継ぎも覚えないとだめよ」と。
私「はい」
その日以降、手のかきかた、足の動かし方、息継ぎのタイミングなど、私が泳ぎの練習をしているとアドバイスしてくれるようになった。
おかげさまで1ヶ月経つ頃にはクロールで50m泳ぎきれるようになった。
小学校の授業でなく、スイミングスクールに通うでもなく、you tubeの指南動画を見るでもなく、泳ぎ方の本を読むでもない。
名も知らぬ師匠1号2号の教えのたまものなのである。
。・*・:≡( ε:)≡_(ゝヽε:)ノ シャッ・*・: ≡(^ε:)_
私が仕事の都合で遠くにお引っ越しすることになったからそれ以来会えなくなったけど、昔取った杵柄。手足が感覚を覚えているから、今でもちゃんと泳げる。
人によっては「赤の他人のおせっかいクソうぜぇ」と言いそうだけど、私はそんな知らない人のおせっかいで泳げるようになったから人生何が起こるかわからない。
およげカナヅチ、やろうと思えばできる。
三⊂( ⊂・ω・)スイー