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機械仕掛けの宙を廻りて  作者: ドフォー/QSO
序章
1/14

第███話【永劫月下】

「久方ぶりか、将又(はたまた)初めましてと言うべきか」


 波が織り成す行進曲。それは一定の間隔で大気を震わせる。


 彼女はまるで指揮者の如く、穏やかなさざ波を眺めていた。


 風に揺られる草原は、"本命登場"と俺に拍手を浴びせてく。


「あの衛星の名はセアティス。三日月形の"海"が特徴だ。こんな日には、是非とも月見をしてみたい。ススキを飾ってな」


 舞台の上は、奏者の星々で満たされる。


 仰け反る客らは、興奮の赤に包まれる。


「君の背後にある恒星はアルデバラン。直に沈み、長い夜が訪れる」


 "彼女"は振り向き、俺を見つめる。


 俺は止まって、"彼女"を見つめる。


 塩ビの樹木が、影を落とす。


 割れた夕日が辺りを照らす。


「……私は君が見えないからこそ、如何なるものより君のことがよく見える。歓迎しよう、████。共に夜が明けるまで」


 俺の背後で沈み行く恒星が、俺を冷たく見つめている。


 "彼女"の背後で昇る衛星が、俺を生温く嘲笑っている。


 あぁ、今宵も空が澄んでいる。


 あの時と同じだ。

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