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朝バタバタと走り回る母の足音で目が覚めた。
時計を見るとまだ8時半。日曜日にしては早すぎる目覚めだ。もちろん2度寝をする。ゆっくりと布団に落ちていく感覚が足の先にまで達した時大きな音がした。
「皐月、早く起きて」
母は勢いよく扉を開けた音に被せるように大声でそう言い放ち私の布団を一気にめくってた。
「まだ…眠いよ」
「皐月、おばあちゃんが倒れたって連絡来たの」
????頭が一気に冷えていくをのを感じた。
「これから病院行くからすぐ支度して」
そう言って母はまたバタバタと部屋を勢いよく出て行った。
車の中では一昔前の曲が沈黙を作らまいと必死に音を鳴らしている。そんな頑張りも虚しく助手席に座った母の人差し指一本で沈黙が作り出された。
「おばあちゃん、倒れているところがお隣さんに発見されたんだって」
運転中の父がゆっくりと話し出す。話とは裏腹に車は普段からら想像できないほどのスピードが出ている。
「電話で聞いた限り脳梗塞で発見が遅れたからもう助かる可能性は…」
ほら、また沈黙が顔を出してきた。おばあちゃんは好きだし、子供の頃はよく遊んでいたが2年前に癌の診断を受けてから一応心の準備はできていた。きっと両親…はたまたおばあちゃん自身もそうかもしれない。そう感じざるほどおばあちゃんは弱りきっていた。
沈黙の車内はそのまま病院へと向かった。
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