第7話 俺の職業魔王勇者!?
俺たちは今、お風呂からあがって、シャールたちの村へと帰っている。
あのあと何があったかと言うと、俺がぶっ壊したお風呂の木の壁を直し、その間にシャールとマイはもう1度お湯に浸かって出てきた。
俺は剣だから体温なんかおまけみたいなものだし、あんまりお湯に浸からなくてもいい。
温かいとは感じるけど、お風呂に入るメリットはまあ、ない。
身体もそこまで汚れることもないしな。
「そういやお前らの関係ってなんなんだ?」
シャールとマイ。姉妹っぽくはないけど、友達って呼ぶには仲が良すぎる。
「まだ自己紹介してなかったっけ?」
「お前らが会話してんのを聞いて覚えたんだよ。名前は」
「そっか。私は、シャール。シャール・スパークナム。一応剣士やってるよ!」
シャール・スパークナムか。一応ってなんだよ。
「マイ・ライドウィング。マイって呼んで。私も一応回復士やってる……」
マイ・ライドウィングか。だから一応ってなんだよ!
「シャールとは、友達だよ」
マイが言う。
「ただの友達って関係には見えないんだけど……」
「まぁー出身地も全然違うしね! なんなら初めて会ったのギルドだったし」
「懐かしいねー」
「えっ? そんな軽い出会いだったの?」
もっとこう……生まれた時からの関係とか、2人でどこからか逃げ出してきましたとかさ……。
「軽いって言っても、戦争中だったけどね」
は?
「魔物に襲われてたってことか?」
「ううん。国同士の戦争だよ?」
シャールがケロッと答える。
うそだろ……。異世界にもそんなことがあるのかよ……。
「ヨギアナ戦争って言ってね。大国ヨギアナと、今は無きパンドル国とデウォン国が戦った戦争だよ」
マイの解説が入る。
今は無きってことは、そっちが負けたのか。
「なんか領土問題がどーこー言いながら、デパン協定を結んで、連合国としてパンデル国とデウォン国が、大国ヨギアナに宣戦布告。」
なんでマイはそんなに詳しいんだよ。
「でも、圧倒的な勢力の差でヨギアナが勝利し、連合国は滅亡の道を歩んだの。その時のデウォンのギルドでシャールとは出会ったの」
「じゃあどうやって助かったんだよ?」
「最後に出港する商船に、2人で潜り込んで脱出したよ。で、大都市イルイヒヲってとこがあるんだけど、そこに来たってわけ」
イルイヒヲ?
「どこにあるんだ?」
「ここからすぐ近くにあるよ。私たちはそこに来て、今いた村に住みついたの。もう10年前になるかな?」
「10年前!? お前ら今何歳なんだよ?」
見た目中学生くらいだから、そのくらいの年齢としても、記憶力すごいだろ。10年前の記憶があるって。
「私が15で、マイが16だよ!」
いや、俺とタメ!!
こいつらと同い年かよ。というか、マイのほうが年上だったんだな。
てっきりシャールのほうが上かと。
……と、こんなことを話しているうちに、村に着いた。
「どうする?」
シャールがいきなり聞いてくる。
「どうする? ってなにを?」
「もうやっちゃっていいんじゃない?」
と、マイ。
え? だからなに? 怖いんだけど。
「えいっ!」
マイがリモコンのようなものを俺に向けて、ボタンを押した。
ヴォン。
目の前に、俺が見飽きたステータスが映し出される。
リウス・レティーウェル
職業 魔王勇者
体力 87
魔力 96
素早さ 45
知識 48
攻撃力 68
防御力 62
【使用可能魔法】
火球 大火球 超魔火球 超神火柱
火炎刃 大火炎 灼熱炎 地獄火炎
水球 大水流 超水流嵐 大運河流
氷球 大氷刃 超大氷嵐 凍結氷霜
真空刃 大真空刃 暴風十字路 大魔大嵐
爆発 大爆発 閃光大爆発 巨大雷爆発
【獲得スキル】
希少能力
火炎魔法無効 氷雪魔法無効 風魔法無効 爆発魔法無効 炎息耐性 氷息耐性 魔力吸収
超能力
念力通話 火炎操作 水流操作 風力操作 電気操作 土操作 岩石操作 念力動作
伝説能力
瞬間記憶 空間移動
【獲得特殊能力】
物理攻撃無効 痛覚反射 再生能力 アイテム鑑定 モンスター愛 魔法反射 魔法操作 能力吸収 魔術分解 空中浮遊 透明化 超加速能力 超鋼装甲 千里眼 空間把握 言語発生
「え!!??」
2人そろって同じ反応。
そりゃそうだよな。こんなステータス、明らかにぶっ飛んでるもん。
俺も上から見ていくけど、特に変わったところは…………
ある。
というか、1番上が変わっている。
体力とかの数値が明らかに上がってるし、職業のところがーーから、魔王勇者ってのに変わっている。
なぁユーフィミア。魔王勇者ってなんだ?
魔王とか、勇者とかじゃなくて両方が表示されてるんだが?
『私にも分かりかねません。この世界には職業というものが存在しますが、今まで1度もそのような職業は耳にしたことがないのです……』
「……ん! ……るぎくん……!! つるぎくんってば!!」
え? シャール?
「やっと気づいた。さっきから呼んでるのに」
「なんだ?」
「職業のところの、魔王勇者ってなに?」
いや、それは俺も分かんねーんだよ!!
「俺も分からない。……そもそも職業ってなんだよ?」
軽々しく流してきたが、職業って、現代日本で言えば学校の先生とか、医者とか、プロ野球選手とかそういうのだよな。
「職業って、基本職業、高位職業、最高職業の3つに分かれてて、剣士や魔法士、回復士などが基本職業で、賢者とか魔術師とか、剣豪とかが高位職業。最高職業は勇者とか、大賢者とか、神官などかな」
「魔王は職業じゃないの?」
「当たり前でしょ? 魔王って普通は人間がなるものじゃないんだから」
俺が聞いた途端、シャールにツッコまれる。
じゃあいったいなんなんだよ? 魔王勇者って…………。
第8話に続く。