第2話 スキルと魔法について知ろう
どうやら俺がユーフィミアと話している合間に、俺を拾った銀髪の子はどこかへ行ってしまったようだ。
まぁ、いずれ戻ってくるだろう。ここは彼女の家なのだから。
さて、気を取り直して。ユーフィミア、スキルについて、もっと詳しく教えてくれないか?
『了解しました。では、基本スキルのスキル段階について少しだけ。この世界に存在する、人間が使用できるスキルは段階分けして5つに分けられます』
5つの段階?
『はい。普通能力、上位能力、希少能力、超能力、伝説能力の5つです。
普通能力とは、努力をすれば、誰でも習得が可能なスキルです。例えば、魔力を少し高める魔力高揚や、自身の体力を少し回復する小回復などです。
』
誰でも習得可能なスキルね。
『上位能力は、冒険の経験値を積んだ人で無いと、習得が難しいと言われています。これは、魔力を上げる魔力暴走や、敵を見つける魔物感知などです。
そして、希少能力は、かなりの冒険の経験値を積まないと、習得が困難です。これは、火炎魔法無効や、氷雪魔法無効といった、魔法を無効化するスキルが多いです。さらには炎息や氷息に対する耐性もあります』
ここまでくると、もう熟練の冒険者を名乗れそうだな。
『そして、超能力。これは、習得するスキルの条件に合わないと習得が出来ません。これには、主様が獲得している念力通話、また火炎操作や、水流操作など、自然体を操作できるスキルがあります』
エグいな。超能力。もう最強じゃねーか。
『そして最後は伝説能力。これは条件に合う超能力を所持の上、限られた体質をもつ者しか習得が出来ません。これには、瞬時に指定した場所へと移動する空間移動や、原子を一定以上溜めて、撃ち出す原子融合などがあります』
ひゃー。もうチートスキルじゃねーか。伝説能力。
『それはそうです。伝説の勇者ですら、全てを使いこなせた者はまだ誰1人としていないのですから』
すげぇ……。そんなスキルが使えたらいいよな。
で、今のは基本スキルだろ? まだ他に何かあるのか?
『はい。基本スキルの他には、身体強化スキル、戦闘スキル、そして他のスキルと少し異なる特殊能力があります。
身体強化スキルは、自身の攻撃力を上げる物理攻撃強化、魔力を上げる魔力強化などがあります。
戦闘スキルは、剣の技能を追求した剣スキルや、槍の技能を追求した槍スキル、その他にも鞭スキル、杖スキル、短剣スキルなどがあります』
特殊能力ってなんだ? 他とは何が違うんだ?
『特殊能力とは、その名の通り、特殊なスキルのことを指します。例えば先ほど話しました、言語発生や、アイテム鑑定、経験値倍増、身体再生などです。
これらは、自ら習得することは出来ず、自然に習得していたり、何らかの覚醒が起こった際に習得出来るスキルなのです』
ほーう。なるほど。ありがとうユーフィミア。これでスキルについては大体つかめた。
この世界のスキルは、基本スキル、身体強化スキル、戦闘スキルの3つに分けられていると。で、基本スキルだけ5段階になってて、下から普通能力、上位能力、希少能力、超能力、伝説能力があるんだな。
で、唯一特殊能力だけが、自分で習得するんじゃなくて、何かが起こった時に自然に習得出来るものなんだな。
おっけー。他には何か無いのか? 異世界なんだから魔法くらいあっても。
『魔法はあります。標準魔法は、火系、火炎系、水系、氷系、風系、爆発系があります。
さらに高位魔法になると、火系、氷系の上位魔法と、爆裂系、閃光系、暗闇系が新たに増えます。
そしてさらに最高魔法になると、空間魔法、神聖魔法、古代魔法、破壊魔法、時空魔法が存在します』
習得するには、何かしなくちゃいけないのか?
『いえ、魔法はスキルと違って習得は難しくありません。流石に高位魔法は簡単ではありませんが、標準魔法ならば、魔法書を見て練習すれば使えるようにはなります』
へーえ。じゃ俺でも習得は出来るんだ。
『はい。それに魔法はスキルと違って、練習すれば練習した分だけ威力が上がりますし、魔力の向上にも繋がります』
いやー。まじですか。前世では考えられない。これはぜひとも、最強を目指したいですねー。
と、こんな話をしてたら銀髪の子たちが戻って来た。
手には野菜やら、なんやらが入ったかごを持っている。
「さてっと……今日はシチューだね」
「シャールは作らないでしょ……?」
銀髪の子の名前、シャールって言うのか。青髪の子の方がマイだっけ?
「材料買ってきたの私だからね?」
シャールが自慢げに話す。
「いや、めちゃくちゃ懇願してアキさんに貰ってたじゃん……」
「私達、お金ないもんねー」
「貯金ももう無くなるし、そろそろどうにかしないと、私達死んじゃうよ」
マイが鍋を取り出して、かまどの上に乗せる。
こいつら、本当に2人で生活してるんだな。と、いうか貯金とか言ってたけど、収入源はどこなんだよ。
『モンスターを倒すと、魔石が獲得できます。それをギルドに持っていくと、銀貨や金貨に交換が可能です』
あー。なるほど。モンスターを倒してお金を稼ぐ方法だってあるもんなこういう世界は。
でもそれは逆にモンスターに襲われたりする可能性だってあるんじゃ、
「シャール! マイ! 来てくれ!」
急に家の扉が開けられ、おじいさんが2人を呼んだ。
「ライクさん! 何があったんですか?」
シャールが問う。
「スライム共が来よった! またじゃ!」
「え!? あの……」
スライムの襲撃?
「いいから来るんじゃ! 村長の言葉じゃぞ?」
「……分かりましたよ……」
俺を持ったシャールとマイは、渋々家の外に出る。
そこには、大量の水色のぷるぷる……もといスライムがいた。
「……っ!」
シャールとマイが動かなくなった。マイに至っては足が震えてる。
え? ちょっとまって? こいつらもしかして、スライムにビビってる?
「し……シャール……」
「お……落ち着いてマイ…………」
シャールの声も震えてる。
どうやら本当のようだ。
すると、俺たちのそばに1人の男が来た。
「シャール! マイ! 君らはいつも通り援護に回ってくれ。俺がやるよ」
「イツキさん……」
おっと。いきなりイケメン登場。男の俺からしても、見惚れてしまうほどの美貌。芸能人みたいだ。しかも、高身長。手にはいかにも高級そうな剣を持っている。
「おっと……そのかわりこの魔書を持っていてくれ」
シャールはイケメン男から魔書と呼ばれる本を受け取る。
「じゃ」
男は剣を片手にスライムのど真ん中へと、走って行った。
「魔書?」
シャールは魔書を開く。
「すごい……」
すごい。ズラッと魔法が並んでいる。俺は片っ端から目を通していく。
なんかいい魔法が無いかと思って。
この行動が、次話、とんでもないことに繋がるとは知らずに。
第3話に続く。