第15話 捕まった…
オオオオオォォォ……。
歓声が巻き起こる。サウスエストの住民も、観光客もみんなで肩を組み合って喜んでいる。
「フラウガーデン! フラウガーデン! フラウガーデン!」
まるで英雄のようだ。
「静まれっ! 我らは我らに与えられた仕事をこなしたのみ。感謝されるのは悪いことではないが、フラウガーデンとして、この街を守った。それだけだっ!」
かっこいー。人を、街を守っておきながら、『与えられた仕事をこなしたのみ』とか言えるなんてどんだけ強いんだよこの人。
まぁ、群衆はそんな声を聞くはずもなく、フラウガーデンの栄誉をたたえている。
そして、なにやら話し込んで、広場の北の方にある大きな屋敷へと入っていった。
「ラミ……あの建物なんだか分かるか?」
「おそらく、街役場かと……」
なるほど。いろいろと手続きみたいなのがあるんだな。
「行ってみようよ!」
シャールが屋敷を指さして言う。
「おい止めとけっ! あの人たちは本当に強すぎる。捕まったりしたら終わりだ。それに俺たち追われてるの忘れてるのかっ?」
「追われてる?」
ラミが食いついてくる。
「あ、いやなんでもない」
イルイヒヲから追われてるのは、ラミには隠しておこう。
「分かってるけど……ちょっと覗くだけじゃん!」
その言い方なんか……。
とか思っている間にシャールは動き出していた。わざわざ人の波をかき分け、広場の北の屋敷へと向かう。
「おいシャール! 止めとけ!」
「見たいみたい!」
俺は止めたが、シャールどころかマイまでもが、乗り気になった。こいつらは一旦興味を示すと、止まらなくなるんだな。覚えておこう。
「ここから見えそう!」
シャールは屋敷の裏側に周って、屋敷の中が見える茂みの間にしゃがみ込む。
「あ、本当だ」
マイもシャールの横にくっついて中を覗く。見つかっても知らんぞ。まじで。と、いうか中は会議室みたいな感じで机が横に並べられていて、、、というか完全に会議室だな。
1番前で、リーダーがホワイトボードを使って何かを説明している。机には、他のフラウガーデンの兵士と、サウスエストの偉い人たちが座っている。
と、その時。俺たちの周りが明るく照らされた。そしてシャールが気づいて振り向く前に、大きい声が飛んできた。
「お前たち、そこで何してる!?」
見つかった。明らかに警備員と思われる服装の男が2人走ってくる。シャールも反射的に走り出す。
「待てっ!!」
男たちがスピードを上げて、こっちに近づいてくる。
「シャール!! このトラブルメーカーめっ!!」
シャールとマイ、ラミも本気で走り出す。しかし、流石は警備員。すいすいと追いついてきて、俺たちに縄をかける。
「確保!」
あーあ。詰んだなこれは。俺を持ったシャール、マイ、ラミの順で縄に繋がれる。いや……手鎖とかはないのかよ。だいぶ原始的だな。
「何者だ。ここで何していた?」
警備員のうち1人が聞いてくる。
「……いや、あの……」
シャールも好奇心で突っ込んだ分、これといった理由が出てこない。
「ナナ様にご報告を」
そう言って屋敷の中へと入っていく。
「ついて来い」
警備員の1人が中へと入って、もう1人が縄を引っ張って、シャールたちを屋敷の中へ連れて行く。
「……怖いよ……」
「大丈夫……」
マイが震えている。優しい声でシャールも返すけど、声が震えているのがよく分かる。まぁ、流石に殺されはしないだろう。
ユーフィミア、何かあったら頼むぞ。
『了』
ガチャ。
俺たちが覗いていた会議室の中へと入れられる。警備員の男は縄を手前にいた女性に渡し、ホワイトボードの前で説明をしていたリーダーの女性に声をかける。
「ナナ様っ!」
「お前らか? 私らの秘密を暴こうとした者は……」
リーダーの女性がこっちを振り向く。凛とした目つきだ。雰囲気からして、怒らせたらヤバい人だ。
「こんな小娘たちにやらせるとは思えないが、きまりは、きまりだ。捕らえろっ!!」
「はっ! 処分はどのように?」
怖っ。処分って絶対殺す気だろ。
「そうだな。城の地下牢にでも放り込んでおけ」
「階はどうしますか?」
「7にしておけ。もしかしたら奴らの差し金の可能性もある」
「はっ! 来いっ」
俺たちは、屋敷を出て、フラウガーデンの船へと乗せられた。
そのまま部屋に押し込まれ、数分経って船が動き出した。
「私たち……どうなっちゃうの?」
マイが涙目で震えている。
「落ち着いてください。あの人の言い方だと、殺されはしません」
ラミは至って冷静だ。俺だって怖いのに。
どうなるんだよ。これから。
第16話に続く




