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「≪最悪の迷宮≫? いいえ、≪至高の楽園≫です!!」~元皇女は引き籠り生活を満喫しつつ、無自覚ざまぁもしていたようです。~  作者:
愚か者たちの末路

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騎士団長



扉を開けば、ざわざわとした喧騒が耳をついた。

無遠慮に向けられる煩わしい視線を振り切るように足を進め、カウンターの前に立った。


「いらっしゃいませ、ご用件は…」


「登録を頼みたい」


笑顔と共に放たれた紋切り型の言葉を遮って用件を告げた。


言葉を遮られた女は一瞬だけ笑顔を止めて、そしてすぐさま取り繕うように笑みを浮かべ直した。その瞳が、一瞬だけ右手へと向いた。


長ったらしい説明に付き合ってやりながらようやく冒険者登録を終えた。


「どの迷宮に潜られますか?」


「嘆きの祠だ」


周囲で名の知れた迷宮の名を口にすれば女の動きがピタリと止まった。


「そこは……お勧めできません。難易度が高いですし、その、お怪我もされているようですし」


「黙れっ!!」


「ですがっ……」


「煩いっ、とっとと手続きをしろこの愚鈍がっ!!」


右手へと向けられた視線と侮るような言葉に苛立ちと共に女の胸倉を掴めば周囲の冒険者(クズ共)が絡んできやがった。


慌てて職員たちが仲裁に入り、渋々といった(てい)で女が手続きを進める。

漸く手続きを完了した俺は苛立ちもそのままに迷宮へと足を運んだ。



突き付けられた選択肢。


その中で選んだのは国外追放だった。


生涯幽閉など論外だし、相手が美人なら兎も角、俺に選択肢がないのなら醜い年増とでも婚姻を結ばされてはたまらない。


何より俺には才能がある。

それに皇女育ちのファウスティーナ様でも出来たんだ。冒険者として生きて行くことは容易いだろう。


誇り高き騎士団長である俺が、粗野で低能なイメージのある冒険者になるなど耐え難かったが背に腹は代えられない。


それにクズの多い冒険者だが、高位ランクともなれば話は違う。報酬も対応も桁違い、中には国の賓客として扱われることすらある。


だから早く、

一刻でも早く、成りあがらなくてはならない。


この不条理な現状を覆すためにも。


本来あるべき姿を取り戻すためにも___。




ゴホッと血が噴き出る。


激痛に苛まれる身体をなんとか引きずり、命からがら安全地帯(セーフティポイント)まで逃げ込んだ。荷物を漁り、咥内に残る血ごとポーションを飲み込む。


折れた剣にボロボロの身体。


何故だ?

何故こんなことに?


ボロ雑巾のような身体を壁に凭れ掛からせながら騎士団長は考えていた。


こんな筈じゃない。

もうとっくに、とっくに幾つもの迷宮を踏破して冒険者として一目置かれる存在となってる筈だった。


なのに何故……。


初回に挑んだ迷宮で見事に惨敗を()し、その後も迷宮のランクを落としつつも大した成果もあげられず、おまけに依頼となれば依頼主と揉め事を起こし続け未だに底辺ランクの冒険者である騎士団長は気づいていなかった。


自分がさほど、強くも凄くもないということを。


仮にも元・騎士団長。

別に弱いわけじゃない。

ファウスティーナから見ればワンパンKO確実な雑魚だが、普通の人間としてはそこそこの実力。


だが皇帝の友人ということでモロ権力で手に入れた騎士団長という役職からみれば大分足りない実力の上、剣を握る者にとって致命的な利き腕の不能。


さらにはなんだかんだ坊ちゃん育ちのおキレイな剣捌きは対人は兎も角、魔物のトリッキーな攻撃とは相性が最悪だった。


そして自身の剣が対人の方が向いているというその事実に、彼自身が気付いてしまった。




「おい、本当にこっちでいいのか……?」


「ああ」


細い昏い分かれ道を乏しい灯りを手に進む。


「…?行き止まりだぞ?」


「お前の人生がなっ!!」


振り向いた男に剣を振り上げる。

赤い血飛沫が舞う中、止めを刺し、仮のパーティを組んだ男の持ち物を漁った。


「チッ、大したモノはもってねぇ。雑魚がっ」


迷宮を出、国を出て、また新しい国へと移る。

そんなことを繰り返しているうちに、やがて冒険者資格を剥奪され、国に追われ、恨みを抱く人間に追われ。




「いたぞっ!!追えっ!!」


「あっちだっ!!」


名ばかりの仲間と散り散りになりながら逃げまどう。


突如身体が崩れ落ち、見れば足に刺さる炎の矢。

倒れ込んだ視界に馬に乗り追って来る集団が見えた。


それは国章やデザインこそ違うものの、

かつて誇りと共に自分が纏っていたのと同じ、騎士服を着こんだ集団だった。



幼い時から下手に中途半端に実力があって天狗になった傲慢タイプ。

上には上がいるんだよ。君はそれ程、強くないよ。ファウスティーナならたぶんデコピン一発で倒せる。

騎士に討伐される側になっちゃいました。

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