さぁ、選んで? 3
ちっともお心痛めるどころか、
ぶっちゃけ眼中になかったです。
今日の晩餐に想いを馳せておりました。
「姉上は……こんな奴らでも減刑を望まれますか?」
「「「陛下っ」」」
セドリックの言葉に、周囲の数人が焦った声をあげた。
だけど玉座から静かに視線を返され、大人しく口を噤む。
そして数えきれないぐらい大勢の視線が一斉にファウスティーナを捉えた。
えっ?
なに、この流れ??
もしかして私に奴らの罪状が託されてる感じ?
そしてむっちゃキラキラした視線を向けてくる芋虫共、超うざいんですけどー。
なに、その期待に満ち満ちた目。
自分達がしたことはまるっと忘れ、助けて貰えると信じて止まないその視線を受けて「いっそ清々しい程に図々しいな!」と思わず感心しながらファウスティーナは息を吐いた。
正直、こんな奴らはどうでもいい。
生涯幽閉どころか死刑だって相応しいとさえ思ってる。
だが、この国に死刑は存在しない。
何でも数代前のバカ皇帝が暴君で、気に入らない奴をすぐ「死刑!」ってやってたから次代の皇帝がそんな悲劇を失くすため死刑制度を撤廃したらしい。
その皇帝は「賢帝」と呼ばれた。
「賢帝」グッジョブ!!
皇帝ともなれば法改正は可能だが、「賢帝」が制度を変えるにはえっらい手間がかかるように色々制約を設けたお蔭で死刑廃止制度は現在も有効だ。
……とはいっても、実際ないとは言い切れないんだけど。
他の処罰を言い渡して、「取り調べ(拷問)の最中に亡くなりましたー」って処刑手口は頻繁に使われてたし。
まぁ、何はともあれ、この国に死刑はない。
そして善良な皇帝であるセドリックはクズ共が使ってたゲスい手口は使わない。
つまり、国内での奴らの最高刑は生涯幽閉。
減刑を望む期待に満ち満ちたクズ共の視線と、減刑を憂う今まで散々被害を受けてきた人々の視線を浴びながら、ファウスティーナは不意に思いついた。
ものすっごいグッドアイデアを。
「彼らの処罰を私に委ねてくれるの?」
「……はい。一番の被害者は姉上ですので」
小首を傾げて問いかければ、重々しく頷いたセドリックにありがとう、の意味を込めて微笑んだ私は豪奢な椅子から立ち上がった。




