三十一
ぎゃいぎゃいと喚きながら引き立てられる罪人たちを見送って、改めてセドリックたちと向き合う。
いやぁ、本当にイケメンになって…。
可愛い異母弟が立派に育って、お姉ちゃんは嬉しいよ。
そしてさ?
イケメン異母弟の横で頬染めてうっとりこっちを見上げてくる美少女ちゃん。
キミは一体誰なのかな??
「ご無事ですかっ?ファウスティーナ様」
そう言って怪我の有無を確認してくれるセドリック。
ご無事ですよー。
父親に似ずマジいい子だよね。これからもそのままでいて。
「お久しぶりですお姉様っ!!すっごく恰好良かったです!」
うっとり……まさに陶酔の表情で熱い瞳を向けてくる美少女ちゃん。
うん??
お久しぶり……ってことは私この子と面識あるのか。
改めてじっと美少女を観察する。
………と、その熱の籠った瞳に何やら見覚えがある様な…。
あっ…。
「……マリア…様…?」
若干疑問形だったファウスティーナの問いに美少女は「はいっ!」と大きく頷いた。
美少女ちゃんは近場の国のお姫様だった。
「私っ、ずっとずっとお姉様にお会いしたくで、あれから色々頑張ってたんです。
でも……お姉様が追放されたって噂を聞いて………
必死に情報を探っているうちにセドリック様とお会いしました」
「水面下で皇帝を蹴落とす計画をマリアも彼女の祖国も色々協力してくれたんです。そして……マリアは僕の、婚約者です」
最後だけちょっと頬を染めて、セドリックが美少女ちゃん、もといマリアちゃんの肩を抱く。それに恥ずかしそうながら嬉しそうにはにかむマリアちゃん。
完全に美男美女ですね。
倖せカップル、おめでとうございます。
マリアちゃんの祖国はぶっちゃけちゃうと、割と弱小国だ。
その国力の差をいいことにクズ共が不当な要求をふっかけたりいいように利用しようとしてたのを阻止したことがある。
「国を守ってくれてありがとうございますっ!」憧れのヒーローを見るような瞳で頬を染めて一生懸命お礼の言葉を掛けてくれた小さなお姫様。
その子がこんな成長してるなんて…。
しかも異母弟の婚約者。
なるほど、それは確かに『お姉様』だわ。
うむ、納得。
……若干それだけじゃない気もしなくもないけど。
因みに、かの国はファウスティーナに多大な感謝を示してくれたが……彼女自身としては…「むしろウチのクズ共がご迷惑おかけして申し訳ありません」な心境だった。
何故なら明らかに横暴かつこっちが悪いから。
弱小国のかの国は抑え込めても隣国からヘイト買って戦争の切っ掛けを与えそうなぐらい自国がバカな提案吹っかけてたから。
それから、
全て解決!と再びファウスティーナは愛しの迷宮の元へ。
……と、いうわけにはもちろんいかず。
立ち話もなんだから…ということで晩餐と相成った。




