二十八
やたら感情たっぷりに語られた話は色々と突っ込み所満載だった。
取り敢えずアレだ、
神子も神子だが、全部他人の所為にしてるけどそれアンタらの無能な所為で引き起こされてる事態も多々あるよね?
結界に関するアレやコレは兎も角として、外交面とか政治面の混乱は神子っていうか宰相であるお前の管轄だろ。
あと皇帝と正妃。
揃いも揃って無能か?!
そして騎士団長…。
マジで?
まだ騎士団長なの……?
思わず明らかにダランと力の入っていない右腕を眺める。
利き腕負傷して使い物にならねぇ奴が団長の任についたままとか信じられない。
左腕でも剣が握れる?
そういう問題じゃない。
いや、左腕だけでも最強!ってなら認めるが明らかコイツそうじゃないし。
むしろワンパンで倒せる自信ある。
「そもそも…私を断罪したのは神子もその一人かも知れませんが、
言い出しっぺは正妃様でしょう?私は陛下にも宰相にも騎士団長も色々言われた覚えがありますが?」
「それはっ…」
ぎゃいぎゃいと零される言い訳は聞くに堪えない。
「そもそも、お前を本気で追い出すつもりなどなかったっ!!」
皇帝の言葉にそうだ、そうだと頷く奴ら。
でしょうね。
体よく大人しくさせる算段だったんでしょうけど……お生憎様。
断罪の衝撃で私は前世の性格を思い出した。
「そうですか。ですが残念ながら、
この国の皇女で、皇帝陛下の妹であったファウスティーナはもう居ませんの。
あの日、あの時、死にましたから。
ここに居るのはこの国とも、貴方方とも無関係なただのファウスティーナです」
大人しくていい子なファウスティーナはもうこの世界の何処にもいない。
きっぱりと言い放ったファウスティーナに、一瞬静寂が落ちた。
よし、静かになった。
もういいかな?納得してくれた?
早く迷宮帰りたい!!
ってかさ、さっきの宰相の「~神子に騙されていたこの国の悲劇!!~」の話にあったあの娘が私の魔力奪い取ってたってマジ?!
性格最悪だけど結界なんて面倒なモン維持したり国に尽してるとこだけは偉いよね、とか思ってたのに私の魔力だったんかいっ!!
マジ最悪だなあの女……。
どうりでやたら身体が怠かったわけだ。
全部アイツの所為かい!!
んでもって、
「迷宮入りしてからストレスもなくて体が軽いわー」とか思ってたの気の所為でもなければ、ストレスの所為だけでもなかったのね。
迷宮があの女のギフトの干渉も防いでくれてたとか……っ!?
流石に10年も居ると飽きてきたかも、とか思ってマジごめんなさいっ!!
迷宮最高!!
シャバに出て痛感した。
私の居場所はあそこだった!!!
DV家族ならぬ鬱陶しい奴ら(クズ共)からシェルターのように匿ってくれて、
ストーカー男たち(ギルドに来てた奴ら)からも匿ってくれて、
引き籠りの私に四季折々の景色を見せてくれて、
色んなイベントやアトラクション(罠)で楽しませてくれて、
適度な運動とストレス解消の相手も務めてくれて(魔物)、
お金や財宝だって沢山貢いでくれた(魔物が落としてく金貨や宝箱)。
帰る時には安全な場所まで送ってくれたし(踏破のご褒美的処置)。
その上、
気づいてなかった脅威からでさえ外部干渉をシャットダウンすることで人知れず私を守ってくれていたなんてっっ……!!
なんというハイスペック!!
迷宮が擬人化出来たらきっと超絶イケメンに違いない…。
アレだ、噂のスパダリとかいう奴に違いない!!
「…………結婚しよう……!
逆プロポーズしなきゃ」
思わず呟いた声に、一同が「えっ?誰と?!」みたいな顔してた。
やばい……、妄想に入り込んだうえ、最後声出ちゃった。
こほん、とわざとらしく咳払いして微笑む。
秘儀、誤魔化し。
「兎に角、私は国に戻る気はありません」
「五月蠅いわねっ!!貴女の意見なんて聞いてないのよ!!!
貴女は大人しく私たちの言うことを聞いてればいいのっ!!!」
目を吊り上げた正妃が指を突きつけ、ヒステリックに叫んだその瞬間、
「そこまでですっ!!」
盛大な音を立てて玉座の間の扉が開かれ、沢山の人間が雪崩れ込んできた。




