二十五
いざ、迷宮の外へ
迷宮の中、とある扉の前でファウスティーナは佇んでいた。
お馴染となったボス部屋のボス。
そんなボスをもはやワンパンで倒し、佇むファウスティーナが握るのは結構豪華な装飾がされた扉の取っ手。
お気づきかと思いますが、そうです。
ボスを倒したら出現する外界へと繋がる扉です。
ボスを倒した後で「サントゥアリオ・デッラ・サンタ・カーザ」を出現させて、お風呂も入ったし、ご飯も食べた。
なんなら最後にティータイムも堪能した。
洋服も約10年前、ここに来た時のドレスはとても入るわけがないので(※特に胸部!)ネットでこの世界でも違和感ない感じのを探して購入した庶民風のワンピース。
服装的には違和感ないが、ある意味違和感ありまくりの仕上がりだった。
普通、迷宮帰りなんてドロッドロの血塗れだし汗臭いので。
そんなことには気づかずに、「よし、完璧。これならこの世界でもOKだよね」と身支度を整え終わったファウスティーナは扉の前に立っていた。
取っ手に手を掛け、だけど一思いにそれに力を入れることは出来ずにそこに手をかけたままボス部屋を見渡す。
色んな想い出が胸を過って、それを振り切るように「またね」そう呟いて指に力を込めた。
そして………。
ファウスティーナは帰りたくなっていた。
ボス部屋の扉を潜ると、そこはギルドの目と鼻の先。
きっと迷宮踏破してお疲れの冒険者がすぐさまギルドへ立ち寄れるようにという配慮なのだろう。
なんという親切設計。
祖国のクズ共は迷宮を見習うといい。
迷宮の謎の配慮に感動すら覚えるが、今はその親切設計は要らなかった。
何故なら、
扉を開けて割とすぐに何やら見覚えのある服装をした奴らに囲まれたから。
迷宮を出て早3分、既に迷宮に帰りたくなったファウスティーナだった。




