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「≪最悪の迷宮≫? いいえ、≪至高の楽園≫です!!」~元皇女は引き籠り生活を満喫しつつ、無自覚ざまぁもしていたようです。~  作者:
本編

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十三

その頃、迷宮の外では…


「ファウスティーナを連れ戻せっ!!」


皇帝がそんな命令を出したのはあの断罪から一カ月が経とうとした頃だった。



皇女であるファウスティーナがいきなり地位も身分も失って生きていけるわけがない。

すぐに()をあげて戻ってくるだろうと皇帝は待っていた。


流石に自分で追放しといて連れ戻すのは外聞が悪いからだ。


反省した妹を広い心で迎え入れてやる自分。

そんな展開を思い描いていた。


だが、二週間経とうと、三週間経とうと一向に音沙汰がない。


その間も執務も諸問題も溜まるばかりでついに()をあげたのは皇帝の方だった。





「どうして力が奪えないのよっ?!」


頭を抱えて神子は叫ぶ。


掻き乱した髪は乱れ、手あたり次第に物を投げた部屋は荒れ果てていた。

だけどそれ以上に彼女の心は荒れ果てていた。


「やはり距離の問題でしょうか……」


侍女の言葉に爪を噛む。


思い当る原因としてはそれしかなかった。


国を守る強固な結界は今や陽炎(かげろう)のようにおぼろげだ。


日に何時間も力を注いでいるのに一向に足りない。

力の使い過ぎて疲労は募るし、肌の張りも髪の艶さえ衰えている。


鏡に映る自分の姿を見て、神子は息を呑んだ。


乱れた髪に血色の悪い肌。

目の下にはうっすらとクマさえ見える。


そんな自分の姿をみたくなくて、チェストボードの上にあった花瓶を手にとって鏡へと投げつけた。

派手な音に侍女達の悲鳴が漏れ、破片が辺りに散らばった。


これも全部、あの子の所為よ。


ファウスティーナの美しい姿を思い出し、神子は再び爪を噛んだ。



神子はファウスティーナを嫌っている。

「親友」と取り繕いながら、心の底では見下し、利用していた。


何故なら、彼女が美しいからだ。

美しさに自信がある自身より尚、美しい彼女は自分を曇らす邪魔者でしかない。


神子がファウスティーナを憎む一番の理由は、

密かに想いを寄せる騎士団長がファウスティーナに気があるからだ。


つまりは、女の嫉妬。


因みに当のファウスティーナ自身は騎士団長など願い下げだ。

嫌われてる理由をしったらきっといい笑顔で「熨斗(のし)付けてくれてやりますわ!!」と言い放つこと請け合い。


そして、そんな色恋の嫉妬を拗らせた神子は…。


周りの人間には秘密だがファウスティーナ同様、貴重な“ギフト”持ち。


そしてその“ギフト”は《他人の魔力を奪う》というもので……。


もうご察しの通り。

神子はファウスティーナの魔力を奪って結界やら治療やらを使いまくり“神子”の地位を手に入れたのだった。(※一応神子自身も本当に癒しを行える。行えるが…実は転生者チートな魔力量を誇るファウスティーナとの魔力力は桁違い)


「とっととあの子を連れ戻してもらわないと…」


追放した時はよくやった!とばかりに心の中で喝采をあげていた癖に、余計なコトをしてくれて!!と皇帝へ自分勝手な憤りを抱きながら神子は侍女らに命令を出す。


「取り敢えず、あの子が戻るまで代わりに魔力を奪えそうな生贄(身代わり)を探しなさい!!」



そうして彼ら彼女らは、


自滅への道を辿りはじめる_________。


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