十二
思い出す度にイラッとする奴らのことを久しぶりにちゃんと思い出す。
まず、前皇帝の父親。
傲慢で偉そうで、女に見境なしな最低の男。
いつか誰かに刺されるんじゃないの?って幼い私は思ってたけど、正にそれで死ぬとか。
本当に国の恥。
情報規制はしてたけど、真相を掴んだ他国はきっと呆れてただろう。
それか大笑いしてたか。
皇帝の後を継いだ兄。
あいつは父の中途半端なコピーそのもの。
全てが父を薄めたものといっても過言じゃない。
政治に疎く、国のトップにたつ器じゃない。
統率力でいうなら父のがまだあった。
だけどその反面、最低は最低だけど性格の悪さは父よりマシ。
傲慢で偉そうだけど苛烈で容赦のなかった先代に比べれば大きな子供の癇癪みたいなモノだから部下たちにとってはまだ多少扱いやすいかもね。
兄の妻である正妃。
あの女マジ嫌い。
記憶を失ってた私は気弱ないい子ちゃんだったから普通に付き合ってられたけど(※嫌いだったけどね)、今の私だったらマジ無理なんだけど。
露出過多ですぐに男に色目を使うデカ乳女。
ねちねちねちねち、嫌味をいってくるわ、頭わっるい癖に悪知恵だけはまわってしかも人の揚げ足取りと男を味方につけることだけは得意とかある意味才能。
他国の外交とかもっと他に活かせし!!
んで、宰相。
国のトップである上二人に比べればまだ仕事は出来る…。
でも正直な話、宰相を務めるには足りないモノが多すぎると思うんだ。
兄の友人でもあって、前皇帝の死に伴って代替わりがあった時に宰相も変わったんだけど(※まっとうだった前宰相ら上層部を鬱陶しがった兄が変えた)まだ若すぎるし経験も力も人脈も足りなすぎだわ!
あれだ、有名大学出てるけど全然使えない新人感凄い。
お勉強できるのと頭いいのは違うんだよ。
しかもプライド高くて陰険な腹黒メガネ。
私に色目使ってくるし、メガネ割るぞこんにゃろう!
同じく兄の友人、騎士団長。
こいつも宰相と同じ経緯で団長に就任ね。
前騎士団長は横暴な皇帝相手でも苦言を呈することの出来る人だったから…。
惜しい。
で、一匹狼の孤高の騎士を気取ってる(笑)。
知ってる?
恰好いい表現で使ってるけど一匹狼って実際は群れに属せない存在だよ??
しかも騎士団のトップが孤高とか……。
ダメじゃん、ただ人望ないだけじゃん!
あからさまに私に言い寄ってきて鬱陶しかった。
しかも数年前とか前世なら私中学生ですけど?
お前が取り締まられろし!!
そしてもう一人、元親友の神子。
なんだ“神子(笑)”って。
元なのは今現在私があの子のことを全くもって親友だなんて思ってないからね。
ま、あっちは元から思ってなかったんだろけど。
むしろ……何故かつての私あれを友人だと思ってた?
お人よし過ぎじゃね?
高位貴族の令嬢で八方美人なお嬢様。
その人柄(※外面)と容姿、あと癒しや結界とかの魔法が得意だからついたあだ名が神子。
騎士団の治療とか、国に張ってある結界もあの子のだしね。
別に私だってそんぐらい出来るけどねー。
始終結界維持するとか疲れそーだしする気ないけど。
ま、それ考えたら偉いのか。
「親友」とか言ってたけど……今思い返せば、あれは明らかに私を下に見てたな。
さり気無い会話で私を落として自分をあげてたわ。
何故気づかなかった自分……??
よく考えると何気に搾取もされてたし、めっちゃいいように使われてたわ。
やりおるな、あの女。
あーー。
思い出したら、ほんとクズばっかじゃない?
他にもクズはいっぱいいるけど、主要だったのはこいつら。
んで、やつらが皇女である私を軽んじるから、周りも私に対して敬意を払わないでいい空気感が普通に出来上がってたのよねー。
もちろん、筆頭は父・兄・正妃。
それを上層部が目にしてー、下位の者まで伝わってくっていうね。
よく耐えてたな……かつての自分。
めっちゃ健気じゃない??
え、今の私なら問答無用でブチ切れ案件ですけど??
記憶失くしてた間の自分がもはや別人としか思えないんですけど?!!
思い返したらイライラしてきた。
よし、ストレス解消にチーズケーキも食べよう!!
食べ過ぎ?
いやいや。不可抗力ですよ。
ダイジョブ、食べたら続ストレス発散で冒険者業しに行くから。
魔物たちにあいつらを投影してフルボッコするから!!




