全ての始まり
いつからだろう。
私は生まれてからずっと長い間、人間は妖精になれるものと信じて生きてきたし
妖精以外の選択肢なんて私には存在していなかった。
だから、私は某有名キャラクターのテ○ンカーベルの動きを真似てみたり
空を飛ぶために木の上から何度も飛んでみたりした。
当然、飛べる訳もなく、地面に落っこちてしまうのだが
いつの日か飛べる日が来ると信じて何度もチャレンジし続けた。
毎日飛んでみては
「空に浮いている時間が1秒ずつ長くなってる気がする」
とふざけたことを友達に自慢したりしていた。
それも今となっては、とんだ黒歴史だ。
とまあ、私は良くも悪くもお茶目な少女だったのだが
そんなことを何も知らない私の両親は私のことを厳しく育てあげた。
結構理不尽なことで怒られたりすることもあったが
それも妖精になるための訓練としか思っていなかった。
そんなある日。
事件は起こった。
妹が母の下着におはじきシールを貼り付けてしまったのだ。
おはじきシールは普通のシールと違って、下着から全く取れない。
焦った妹は姉に告げる。
「ママのパンツにシールをつけると妖精になれるんだって。」
単純馬鹿な私はうっかりそれを信じてしまう。
そんなことをしても妖精になれる訳ないのに。
私は母にドヤ顔で母親のパンティを持ちながら
「見て!これで私も妖精の仲間入りね。」
と言った。
母親は悲鳴をあげた。
そこでようやく気づいた。
妖精になんてなれる訳ないってことに。
その時、とある感情が芽生えた。
私、妖精になれないなら何になったらいいの?