表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートな俺が、チープなあたしに変わったら、くすぐりに悩まされる日々が待っていました  作者: 広瀬みつか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/109

46.再会、だというのに…

 シュミルーク邸に侵入してから三十分後、アストリアは邸宅の西側にある宝物保管室で。周りに気付かれないように灯りを付けずに室内を探し回っていた。

 侵入してからだいぶん時間が経つ。しかし、まだサヤとシュナから連絡が来ない。

 自分よりも探索する範囲が比較的狭い二人から連絡が来ないと言うことは、どうやらはずれだったらしい。

 ということは、この部屋のどこかに地下への侵入口が隠されている可能性が高い。

 これ以上、時間をかけると二人が危うくなってしまう。

 一度こちらの部屋に二人を集めて、一緒に探したほうが効率的ではないかとアストリアは判断した。

 腰につけていた革製の小袋から連絡用の魔石を取り出し、連絡をとるために魔石を叩こうとした。

 しかし、彼女は指を止める。

 確証はないが、ここで連絡をとるべきでないと感じたからだ。“直感”“第六感”といってもいい。

 この邸宅内には魔術に長けている人物がいる。そんなところで微弱といえども魔力を使えば、それを感知される危険性がある。

 それにこれだけ時間が経っているのに、二人から連絡がないというのはどうも怪しい。

 考えたくもないが、二人が探索中に捕まってしまったことも考えられる。その場合、魔石で連絡をとれば相手側にこちらの計画が筒抜けになる。

 だからといって、この部屋の探索を放棄して、それぞれの場所に移動するのは早計かもしれない。

「あともうちょっとだけ……」

 あと数分探索をして、見込みがないと判断すればここを離れてよう。

 取り出した魔石を再び小袋に戻し、部屋の探索を再開する。



 ―――



 窓がないこの部屋が暗くて周りの風景がはっきり見えない。それでも、ミユウには両隣で鎖に拘束さえたサヤとシュナが激しく疲労しているのが分かる。

 ミンクの“相手の弱点を見ることができる”魔眼の前に、サヤとシュナもこっぴどく苦しめられたのだろう。その真の脅威は、二晩かけて彼女のお遊戯に付き合ったミユウが一番よくわかっている。

 ミユウ・サヤ・シュナの三人を一通り責め終わったミンクは、入り口近くに置かれた椅子に腰をかけて休憩を撮っていた。

 さすがに三人同時は心身共に憔悴してきたのだろうか、少し水を一口つけた後に目を閉じて仮眠をとっていた。

 その隙を狙い、ミンクを起こさないように小声で二人へ話しかける。

「サヤ、シュナ。二人ともあたしを助けに来たんでしょ?何で捕まってるの?」

「ここへの侵入口を探してた途中でいきなり背後から全体を拘束されて、そのまま気絶させられちゃったんだ」

「ボクもじゃ。気絶する前に少し見えたんじゃけど、あれは黒い手のように見えたで」

「黒い手?」

 ミユウは二日前のことを思い出す。

 執事長のジークの魔術によって、全身を拘束された。。その時に現れたのが黒い無数の手の影だった。

「一体何やってるの?助けに来たんだったら、ちゃんと助けてよね」

「それが助けに来てもろうたもんのいう言葉か?!」

「そうだよ!にぃにだけには言われたくないよ!」

「うっ!それを言われると言い返せない……」

 それもそうだ。みんなミユウを心配して、リスクを負って救出しに来てくれたんだ。むしろ感謝すべきだろう。

 しかし、隣で同じように拘束されている二人を見ていると、素直に感謝を伝えることができなかった。

「でも、よかった……」

 左隣でサヤが小さくつぶやく。

「もうにぃにと一生会えないんじゃないかって思っていたんだ。けど、こうやって、もう一度、出会うことが、できた。ほんとに、ほんとに……」

 途切れ途切れに話すサヤ。声を聞くだけで彼女が泣いているとわかる。

 そういえば、サヤと別れたときにミユウは喧嘩をしていた。そんな状態で二度と会えなくなれば深く後悔するだろう。それはミユウも同じだ。

 こんな状況でも再び会って話をすることができた。

「ごめんね、サヤ……」

 サヤに対して、自然と謝罪の言葉が出る。

「よかったのう。やっと素直になれたじゃない。“怪我の功名”とはこのことじゃな」

「まあ、“怪我”というには代償が大きすぎるけどね」

「あとはここから抜け出すだけじゃのう。きっとアストリアが助けてきてくれるけん、それまでの辛抱じゃ」

「やっぱりアストリアも来てるんだ。それなら安心だ。二人と違って、アストリアは頼りになるからね」

「「なにを!」」


「うふふ。それはどうでしょう?」

 寝ているはずのミンクの声が聞こえ、正面を向く。彼女はいつの間にか目を覚ましていた。これだけ話をしていたら目覚めるはずだ。

「いや、すばらしい姉妹愛ですわ。私、一人っ子だったもですから、本当にうらやましいですわ」

 あたしは恥ずかしくなって、顔が熱くなる。横目で見ると、サヤの顔も真っ赤に染まっていた。

「これからずっと私のおもちゃとして仲良く過ごしましょうね。そのアストリアとおっしゃる方もじきにお仲間になるでしょうから、もっとにぎやかになるはずですわ。ですので、ここから抜け出したいだなんて、そんな悲しいことおっしゃらないでくださいまし」

「ふ、ふん!誰がこんなところでずっといるもんか!」

「そうよ、そうよ!絶対ここから逃げ出すんだから!」

「すぐにアストリアが来るはずじゃけん、そうなったらこんなとことはおさらばじゃ!」

 近くに仲間がいるだけで気持ちが大きくなり、三人そろってミンクに対し強気な言葉を浴びせかける。

 そんな彼女たちに恍惚させた表情でミンクが微笑む。

「すばらしい、すばらしいですわ!お仲間を信じて希望を持たれる皆さんのそのお顔、本当にすばらしいですわ!」

 明るい表情で拍手をするミンク。

 しかし、その表情に段々と影が落とされていく。不思議と、邪悪なオーラが彼女を覆っていくように見えた。

「……そんな皆さんのお顔が絶望に染まる瞬間、それがとっても楽しみですわ。うふふふふ」

「「「ひぃ!」」」

 その後、ミユウたちはミンクに少しでも強気な態度をとったことを深く後悔することになった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ