31.アストリアの危機、どうすれば…
「にぃに!シュナさん!大変なの!」
朝を迎えると、サヤがミユウとシュナが泊まっていた部屋に血相を変えて飛び込んだ。
「アスねぇが!……二人とも何やってるの?」
ドアを開けたサヤは、部屋の中の光景に一瞬で熱がひいた。
そこには一つのベッドの上で重なるように眠っているミユウとシュナがいた。
「な、なんでもないよ……」
「き、気にせんといて……」
「気にするなって言われても無理なんだけど……って、今はそんなことどうでもいいの!大変なんだってば!」
「どうしたの?朝早くから慌てて……」
「アスねぇの、アスねぇの様子がおかしいの!」
「「え?!」」
簡単な服を急いで着込んだミユウとシュナは、サヤに連れられてアストリアがいる部屋に入った。
すると、そこにはベッドで寝ているアストリアがいた。
「ア、アストリア!」
ミユウたちはアストリアの枕もとに近づいた。
彼女の呼吸は荒く、大量の汗を流していた。意識は朦朧としていて、まともに話をすることもできない。
「サヤ、これは一体どういうことなの?」
「朝起きたら、アスねぇが息苦しそうにしてて、どうしたらいいかわからなくて、にぃに達に相談しようと思って。ねえ、どうしよう?このままじゃアスねぇが……」
涙を流し動揺するサヤの両肩を、シュナは優しく抱きしめる。
「落ち着き。サヤが慌てても仕方ないやろ?ミユウもじゃ。今は冷静にならないけん」
「そ、そうだね。あたし、動転しちゃって……」
「サヤ、ボクのカバンに解熱剤が入っとるけん取ってきてくれ。ミユウは宿主にいって水を用意してもろうてくれ」
「「うん!わかった!」」
シュナの指示のもとアストリアに薬を服用させてから数十分経つと、彼女の荒かった呼吸が収まり汗が引き始める。
そして、ミユウたちと話ができるまでに意識が戻った。
「はあ、はあ、お世話を、おかけ、しました……」
「そんなこと気にしなくていいよ」
「そうだよ。アスねぇの意識が戻ってよかった」
「まずは自分の体を治すだけを考えとったらええ」
「ありがとう、ございます……。では、もう少し、休ませていただきます……」
そう言い残すと、アストリアは静かに眠りに入った。
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1時間ほどたったころ、眠っていたアストリアが目を覚ました。
「おはようございます……」
アストリアが弱い声を発すると、彼女の近くに3人が集まる。
「体の調子はどう?」
「はい。なんとか」
微笑み返すアストリア。しかし、その表情も弱々しく見える。まだ十分に回復ができていないようだ。
「アスねぇ、どうしていきなり体調崩してしまったの?やっぱり長旅が体に障ったの?」
「それだったら、あたしのせいだ。10年もの間、心配させてしまって。その上あたしが不甲斐ないばかりにアストリアに負担をかけっぱなしで……」
「違うの、ですよ。決して、ミユウさんのせいでは、ありません……」
「それじゃあ、どうして?」
アストリアはサヤの問いかけに少し考えて答えた。
「実は……ティークさんのせいなのです」
「「「え?」」」
「ティークって確かミユウを拷問するためにアストリアが召喚した魔獣だよね?それがどうしてアスねぇの体調に関係あるの?」
「ミユウさん、最後にティークさんにくすぐられたのが何日前か覚えていますか?」
「あまり思い出したくないのだけど……。確かトーアの大会が終わったあとだったはずだから10日以上前になるかな?」
「そうです。ティークさんは長い間ミユウさんをくすぐっておらず、そのことでティークさんにストレスがかかっているそうです。ティークさんはミユウさんを拷問するために生まれ、それが彼の存在意義です。そんな彼がミユウさんを長い間拷問することができないことは大きなストレスになる。そのストレスが召喚主である私にも影響が来てしまったのでしょう」
「なるほ……ど?」
ミユウは彼女のいうことをなんとなく理解できた。しかし、彼女の言葉の延長線上に自分の危機があることをわかっていなかった。
「それじゃ、どうしたらアスねぇの体調は治るの?」
「それはその、ミユウさんを―――すれば……」
「え?ミユウをどうすればええん?」
「アストリアが治るんだったら、あたしは何でもするよ!」
迫るミユウたちに対し、意を決してアストリアが答える。
「ティークさんがミユウさんをくすぐることができれば、体調が戻るかもしれません」
「「「……」」」
ミユウたちは黙り込む。
ミユウはこの後の展開を想像し、ゆっくりと後ろに退く。
その姿を見たアストリアはシーツの中から震える手をゆっくりと上げて指を鳴らした。
すると、ミユウの上にティークが覆いかぶさり、彼女の手足を拘束する。
「アストリア?嘘だよね?」
「申し訳ありません。ティークさんにくすぐられていただけます」
「待ってよ!あたし今回何も悪いことしていないのに!やだーー!」
ミユウは必死にティークから逃げようとあがく。
しかし、ティークは久しぶりの獲物を決して逃がすつもりはないらしく、彼女の全身を力強く押さえつける。
そんなミユウの姿をサヤとシュナが見つめていた。
「あの~さすがににぃにがかわいそうじゃないの?」
「そうじゃのう。他にも方法があるんちゃうかな?」
「サヤ~。シュナ~。助けてくれるの?ありがと~」
二人が意外な対応をしたことにミユウは涙を流した。やはり持つべきものは信頼できる仲間だ。
サヤたちの言葉を聞いたアストリアは少し考え込む。
「そうですね。確かに、理不尽にミユウさんをくすぐるのは申し訳ないです。一応ミユウさんをくすぐらずに済む方法もあるのですが……」
「そうなの?あたしにできること?」
「うちもできる限りの協力するで!」
「ありがとうございます。それでしたらミユウさんの代わりに、サヤさんかシュナさんのどちらかがティークさんにくすぐられていただけますか?」
「「…………」」
アストリアの言葉を聞くと、サヤとシュナが沈黙する。そして、ミユウから目を背ける。
二人の姿にミユウの不安を隠せない。
「サヤ?シュナ?あたしを助けてくれるんだよね?あたしの代わりにくすぐられてくれるよね?……ねえ、何か言ってよ!」
「やっぱり、にぃにがくすぐられるべきだよ」
「そうじゃな。自分のできることなら何でもするっていいよったしな」
「そ、そんな~。ひどいよ~。信じてたのに~。この裏切り者!」
ミユウは自分を裏切った二人を涙目で恨めしそうに見る。
「申し訳ございません。しかし、このまま体調を崩して、旅を止めるわけにはいきません。どうか我慢していただけませんでしょうか?」
「ち、ちなみにどれくらいくすぐられたらいいの?」
「は、半日ほどでしょうか?」
「そんなにくすぐられたらあたし死んじゃうよ!」
「大丈夫です。ミユウさんが死んでしまうと、ティークさんも死んでしまいます。彼もそのことは承知していますので、手加減していただけるのではないかと……」
「あたしにはそう思えないけど……」
拘束されている間、ティークの鼓動がミユウに伝わっている。どう考えても手加減してもらえる感じではない。
「う~もうわかった!ティークの気が晴れるまで好きにして!」
ミユウは覚悟を決めてティークに身を委ねる。
すると、ティークはその彼女の着ているものを強引に剥がしていく。
「え?待って。服を脱がせるなんて聞いてないんだけど!ちょっとなんで下着も……」
脱がされた服や下着がその辺に捨てられていく。
ミユウはティークの下で全裸の状態だ。床の硬さと冷たさが不安を増長する。
「脱がせる必要はある?」
「直肌をくすぐる方が効率的ですので。では、ご覚悟願います」
アストリアが指を鳴らすと、ティークはミユウの全身をくすぐり始める。
「ぎゃーーははははははは!やっぱダメーーー!止めてーーーー!」
「申し訳ございません。一度始まると、今の私の力では止めることはできません」
「いひひひ!し、死んじゃう!た、助けて!サヤ!シュナ!あはははははは!」
しかし、助けを求められた二人は体を震わせて笑いをこらえていた。
初めて見るティークの容赦ないくすぐり責めの光景は視界を通して彼女たちの体をもくすぐる。
「くくく。ご、ごめん、にぃに見てるだけで、こっちも、くすぐったいよ」
「うち、もう我慢できん。部屋に戻るわ」
「じゃあ、がんばってね」
そう言い残すと、二人はミユウを置いていって部屋を出ていった。
「やはははは!ま、待ってーーー!あたしを、み、見捨てないで!あはははははは!」
その後、ミユウはティークによるくすぐり責めは陽が沈むまで続けられるのであった。




